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2004.10.23

居残り佐平次(いのこりさへいじ) 

映画「幕末太陽傳」の原作。有名な噺ですね。 この1枚:居残り佐平次

仲間が集まり、
今夜は品川遊廓で
大見世遊びをして散在しようということになったが、
みんな金がない。

そこで一座の兄貴分の佐平次が、
俺に任せろ
と胸をたたく。

大見世では一晩十五円はかかるが、
のみ放題食い放題で一円で済まそうという。

一同半信半疑だが、
ともかく繰り込んだのが
「土蔵相模」という有名な見世。

その晩は芸者総揚げで乱痴気騒ぎ。

さて寝る段になると、
佐平次は仲間を集めて割り前をもらい、
この金をお袋に届けてほしい、と頼んだ。

一同驚いて、
「兄貴はどうするんだ」
と聞くと、
「どうせ胸を患っていて、
医者にも転地療養を勧められている矢先
当分品川でのんびりするつもりなので、
おまえたちは朝立ちして先に帰ってくれ」
と言う。

翌朝若い衆が勘定を取りに来ると、
佐平次、早速舌先三寸で煙にまき始める。

まとめて払うからと言いくるめ、
夕方まで酒を追加注文してのみ通し。

心配になってまた催促すると、
帰った四人が夜、裏を返しにきて、
そろって二日連続で騒ぐから、
きれいに明朝に精算すると言う。

一向に仲間など現れないから、
三日目の朝またせっつくと、
しゃあしゃあと「金はねえ」。

帳場はパニックになるが、
当人少しも騒がず、
蒲団部屋に籠城して居残りを決め込む。

だけでなく、
夜になり見世が忙しくなると、
お運びから客の取り持ちまで、チョコマカ手伝いだした。

無銭飲食の分働くというのだから、
文句も言えない。

器用で弁が立ち、
巧みに客を世辞で丸めていい気持ちにさせた上、
幇間(たいこもち)顔負けの座敷芸まで披露するのだから、
たちまちどの部屋からも
「居残りはまだか」
と引っ張りだこ。

面白くないのが他の若い衆で、
「あんな奴がいたんでは飯の食い上げだからたたき出せ」
と主人に直談判する。

だんなも放ってはおけず、
佐平次を呼び、
勘定は待つからひとまず帰れ
と言う。

ところがこの男、
自分は悪事に悪事を重ね、
お上に捕まると、
三尺高い木の空でドテッ腹に風穴が開くから、
もう少しかくまっててくれ
ととんでもないことを言いだし、
だんなは仰天。

金三十両に上等の着物までやった上、
ようやく厄介払いしたが、
それでも心配で、
あいつが見世のそばで捕まっては大変
と、若い衆に跡をつけさせると、
佐平次は鼻唄まじり。

驚いて問いただすと居直って、
「おれは居残り商売の佐平次てんだ、よく覚えておけ」
と捨てぜりふ。

聞いただんな、
「ひでえ奴だ。あたしをおこわにかけた」
「へえ、あなたのおツムがごま塩です」

【うんちく】

居残り

居残りは遊興費に足が出て、
一人が人質として残ることですが、
そんな商売はありません。
ところで、「佐平次」も元々は
普通名詞だったのです。
古くから芸界で
「図々しい人間」
を意味する隠語でした。

品川遊郭

いわゆる四宿(ししゅく=品川、新宿、千住、板橋)の筆頭。
吉原のように公許の遊廓ではないものの、
海の近くで魚はうまいし、
佐平次が噺の中で言うように、
結核患者の転地療養に最適の地でした。

おこわ

オチの「おこわにかける」は
古い江戸ことばで、
すでに明治末年には
死後になっていたでしょう。

語源は「おおこわい」
で、人を陥れる意味でした。

それを赤飯のおこわと
掛けたものですが、
もちろん今では通じないため、
現・談志が
「あんな奴にウラを返されたら、後が恐い」
とするなど、各師匠が工夫しています。

昔から多くの名人・上手が
手がけましたが、
戦後ではやはり六代目円生の
ものだったでしょう。

音源は円生始め、
志ん生、志ん朝、談志、小三治とあります。

居残り余話

居残りは遊興費に足が出て、
一人が人質として残ることですが、
そんな商売はありません。
ところで、「佐平次」も元々は
普通名詞だったのです。
古くから芸界で
「図々しい人間」
を意味する隠語でした。

品川遊郭は、
いわゆる四宿(ししゅく=品川、
新宿、千住、板橋)の筆頭。
吉原のように
公許の遊廓ではないものの、
海の近くで魚はうまいし、
佐平次が噺の中で言うように、
結核患者の転地療養に最適の地でした。

オチの「おこわにかける」は
古い江戸ことばで、
すでに明治末年には
死後になっていたでしょう。
語源は「おおこわい」
で、人を陥れる意味でした。
それを赤飯のおこわと
掛けたものですが、
もちろん今では通じないため、
現・談志が

「あんな奴にウラを返されたら
後が恐い」

とするなど、各師匠が工夫しています。

昔から多くの名人・上手が
手がけましたが、
戦後ではやはり六代目円生の
ものだったでしょう。

音源は円生始め、志ん生、志ん朝、
現役で談志、小三治とあります。

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コメント

初めまして。

『agent klmn』というブログを
運営しております
秋元一剛と申します。

僭越ながら、トラックバックを
させていただきました。

投稿: 秋元一剛 | 2005.10.13 14:54

秋元さま、ありがとうございます。
私、以前、デポルテで仕事をしておりました。
懐かしいです、横山さん。
今後ともよろしくです。

投稿: 古木優 | 2005.10.13 17:41

古木様

お名前はペンネームですか?
横山に今度、聞いてみます。

小社デポルテは、落語関連の本の
編集をしたことはないのですが、
相撲か、ボクシングのお仕事を
されていらしたのでしょうか?

デポルテ
秋元

投稿: 秋元一剛 | 2005.10.17 12:49

「大相撲」という雑誌ででした。
横山さんのおじいさんって、
漢和辞典作った方と聞きました。
日本人で科挙に合格した、
とても偉いすごい方なんですよね。

投稿: 古木 | 2005.10.19 11:22


はじめまして、検索でやってきました ^^
こちらのブログを拝見し、わかりやすくて感激しました!
記事を書きましたのでトラックバックさせていただきます ^^

投稿: みー | 2009.03.21 21:42

みーさん
TB、ありがとうごいざいます。
よろしくです。

投稿: ふる | 2009.04.12 02:14

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受信: 2005.10.13 14:50

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