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2004.11.17

そば清(そばせい)/落語

「そば打ちレッスンセット」【そば通のお店】

そば清

そば好きの江戸っ子らしい小品ですね。

旅商人の清兵衛は、
自分の背丈だけのそばが食べられるという、
大変なそば好き。

食い比べをして負けたことがないので、
もう誰も相手にならないほど。

ある時、越後から信州の方に回った時、
道に迷って、木陰で一休みしていると、
向こうの松の木の下で狩人が居眠りをしている。

見ると、その木の上で大蛇がトグロを巻いていて、
あっと言う間もなく狩人を一のみ。

人間一匹丸のみしてさすがに苦しくなったのか、
傍に生えていた黄色い草を、
長い真っ赤な舌でペロペロなめると、
たちまち膨れていた腹が小さくなって、
隠れて震えていた清兵衛に気づかずに行ってしまった。

ははん、これはいい消化薬になる
と清兵衛はほくそ笑み、
その草を摘めるだけ摘んで江戸へ持ち帰った。

これさえあれば、
腹をこわさずに、無限にそばが食えるので、
また賭けで一もうけという算段。

早速友達に、
そばを七十杯食ってみせると宣言、
食えたらそば代は全部友達持ち、
おまけに三両の賞金ということで話が決まり、
いよいよ清兵衛の前に大盛りのそばがずらり。

いやその速いこと、
そばの方から清兵衛の口に吸い込まれていくようで、
みるみるうちに三十、四十、五十……。

このあたりでさすがの清兵衛も苦しくなり、
肩で息を始める。

体に毒だから、
もうここらで降参した方が身のためだという忠告をよそに、
少し休憩したいからと中入りを申し出て、
皆を廊下に出した上、
障子をピタリと閉めさせて、
例の草をペロリペロリ……。

いつまでたっても出て来ないので、
おかしいと思って一同が障子を開けると、
清兵衛の姿はない。

さては逃げだしたかとよくよく見たら、
そばが羽織を来て座っていた。

【うんちく】

食いくらべ

有名なのは文化14年(1817)3月、柳橋の
万屋八郎兵衛方で催された大食・大酒コンクールで、
酒組、飯組、菓子組、鰻組、そば組などに分かれ、
人間離れのした驚異的な記録が続出しました。

そば組だけの結果をみると、池之端の山口屋吉兵衛
(38歳)がもり63杯で見事栄冠。新吉原の桐屋惣左衛門
(42歳)が57杯で銀メダル、浅草の鍵屋長助(45歳)
が49杯で銅メダルとなっています。

したがって、清兵衛の50余杯(惜しくも永遠に未遂)
は決して荒唐無稽ではありません。

なお、これこそデカダンの極北、醤油ののみ比べも
ありました。これについては故・高木彬光の短編
「飲醤志願」に実態が詳しく描写されていますが、
まさしく死と隣り合わせです。

上方は餅食い競争

類話の上方落語「蛇含草(じゃがんそう)」は、
餅を大食いした男が、かねて隠居にもらってあった
蛇含草なる「消化薬」をこっそりのむ設定です。
したがってオチは

「餅が甚兵衛(夏羽織)を着てあぐらをかいていた」

となります。三代目桂三木助が、この大阪演出を
そのまま東京に移植して十八番とし、それ以来、
「そば清」とは別に「蛇含草」も東京で演じられるようになりました。

三木助演出は「餅の曲食い」が売り物で、「出世は
鯉の滝登りの餅」「二ついっぺんに、お染久松相生の
餅」と言いながら、調子よく仕草を交えて、餅を
ポンポンと腹に放り込んでいきます。

「そば清」の古い演出

明治には三遊亭円朝も演じました。その型を忠実に
踏襲した四代目円生の速記では、清兵衛がなめるとき、

「だんだん腹がすいてきたようだ」

とつぶやきます。内臓が溶けつつあるのを、腹の中の
そばが溶けたと勘違いしているわけで、笑いの中にも
悲劇を予感させる一言ですが、今はこれを入れる人は
いないようです。

実録・そばを溶かす草
根岸鎮衛(ねぎし・やすもり、?~1815)著「耳嚢」
巻二に「蕎麦を解(とか)す奇法の事」と題し、
荒布(あらめ=海藻の一種で食用)が、そばを
溶かす妙薬であるとの記述があります。ただし、
真実かどうかは分かりません。

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コメント

ええっと。
蕎麦をたくさん食べちゃう噺なんですが、蕎麦屋にご隠居がやってきて、毎日蕎麦を頼んでは、必ずなにか小言を言って帰って行くという。
ところがそのご隠居の注文する蕎麦が日増しに1枚ずつ増えていくっていうんで、だんだん町内でも評判になって、ある日大勢が詰めかけて固唾をのんで見守っていると、ご隠居の注文は1枚だけだったという下げの噺、なんでしたっけ?

蕎麦を次々に平らげていくさまと、毎日ふらっと来ては主人を呼びつけてお小言をするところがなんとも言えない味なんですけど・・・
なかなかこれを解説してるものがないんですよね・・・。

投稿: | 2006.01.04 06:13

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