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2004.12.31

五貫裁き(ごかんさばき)  落語

八百屋になりたい熊、質屋と対決へ。

四文使いという、
博打場の下働きをしている熊。

神田三河町の貧乏長屋に住むが、
方々に迷惑をかけたので、
一念発起して堅気の八百屋になりたいと、
大家の太郎兵衛に元手を借りに来た。

ケチな大家は、
奉賀帳を作り、まず誰か金持ちの知り合いに、
多めにカンパしてもらってこいと突き放す。

ところが、戻ってきた熊は額が割れて血だらけ。

昔、祖父さんが恩を売ったことのある質屋・徳力屋万右衛門方へ行ったが、
なんとたった一文しか出さないので
「子供が飴買いにきたんじゃねえッ」
と銭を投げつけると、
逆に煙管でしたたかぶたれ、
たたき出されたというお粗末。

野郎を殺すと息まくのを、大家
「待て。事によったら面白えことになる」

事の次第を町奉行・大岡さまに駆け込み直訴しろ
と、知恵をつけた。

ところが奉行、
最初に銭を投げつけ、
天下の通用金を粗略にした罪軽からず
と、熊に科料五貫文、徳力屋はおとがめなし。

まだ後があり、
「貧しいその方ゆえ、日に一文ずつの日掛けを許す」

科料を毎日一文ずつ徳力屋に持参し、
徳力屋には中継ぎで奉行所に届けるよう申し渡す。

夜が明けると大家は、
一文はオレが出すから銭を届けてこい、
ただし、必ず半紙に受取を書かせ、印鑑ももらえ
と、念を押す。

徳力屋はせせら笑って、
店の者を奉行所にやったが、
「代人は、天下の裁きを何と心得おる。
主人自ら町役人、五人組付添いの上持って参れッ」
と、しかりつけられたから大変。

たった一文のために毎日、
莫大な費用を払って奉行所へ日参しなければならない。

奉行の腹がようやく読めて、
万右衛門は真っ青。

その上、逆に自分が科料五貫文を申しつけれられてしまった。

それから大家の徳力屋いじめはエスカレートし、
明日の分だといって、夜中に届けさせる。

店の者が怒って、奉行もへちまもあるかと口走ったのを、
熊が町方定回り同心に言いつけたので、
さんざん油を絞られるハメに。

大家は
「また行って来い。明後日の分だと言え。
徳力屋を寝かすな」

こうなると熊もカラクリがわかり、
欲が出て毎晩毎晩ドンドンドン。

徳力屋、一日一文で五貫文では十三年もかかる上、
町役人の費用、半紙五千枚……これでは店がつぶれると降参。

十両で示談に来るが、大家が
「この大馬鹿野郎め。
昔生きるか死ぬかを助けてもらった恩を忘れて、
十両ぱかりのはした金を持ってきやがって。
くそォ食らって西へ飛べッ」
と啖呵を切ったから、ぐうの音も出ない。

改めて熊に五十両払い、
八百屋の店を持たせることで話がついた。

これが近所の評判になり、
かえって徳力屋の株が上がったので、
万右衛門、人助けに目覚め、無利子で貧乏人に金を貸すなど、
善を施したから店は繁盛……
と思ったら、施しすぎて店はつぶれた。

熊も持ちつけない金に浮かれ、
もとの木阿弥で、やがて行方知れず。

【うんちく】

これも講釈ダネ

大岡政談ものの、同題の講談を脚色したもの。
講談としては、
四代目小金井蘆洲の速記があります。

六代目三遊亭円生は
「一文惜しみ」の題で演じましたが、
現立川談志のは、先代・一龍斎貞丈直伝で、
設定、演題とも講談通りの「五貫裁き」です。

円生と談志のやり方

長講で登場人物も多く、筋も入り組んでいるので、
並みの力量の演者ではこなせません。
そのためか、現役では談志のほかは、
あまり手掛ける人はいません。

「一文惜しみ」としては、
六代目円生以前の速記が見当たらず、
落語への改作者や古い演者は不明です。

故円生はマクラにケチ噺の「しわいや」を入れ、

「強欲は無欲に似たり。
 一文惜しみの百両損という
 お噺でございます」

と終わりを地の語りで結ぶなど、吝嗇(りんしょく=けち)噺の要素を
強くし、結末もハッピーエンドですが、
談志は講談の骨格をそのまま踏襲しながら、
人間の業(ごう)を率直にとらえる視点から
逆に大家と熊の強欲ぶりを強調し、
結末もドンデン返しを創作しています。

四文使いとは

博打場で客に金がなくなったとき、
着物などを預かって換金してくる使い走りで、
駄賃に四文銭一枚もらうところから
この名があります。

銭五貫の価値

時代によってレートは変わりますが、
銭一貫文=千文で、
一朱(一両の1/16)が三百文余りですから、
五貫はおよそ五両一両あまりに相当します。

おすすめCD五貫裁き

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コメント

ココログのぽっどきゃすてぃんぐ落語で柳家三三の五貫裁きを聴きました。
家元の五貫裁きはCDで聴きましたが、三三さんもなかなか。というか私はこちらの方が好みだったり。
http://www.podcastjuice.jp/rakugo/

メルマガも購読させていただきました。

投稿: 豊島のお幾 | 2005.08.29 23:13

すみません、この間訪ねた時のHNと違ってしまいました・・・
豊島のお幾×→いくっち m(_ _)m

投稿: いくっち | 2005.08.29 23:15

時代によってレートは変わりますが、
銭一貫文=千文で、
一朱(一両の1/16)が三百文余りですから、
五貫はおよそ五両に相当します。

投稿: 通りすがり | 2006.02.23 14:23

>時代によってレートは変わりますが、
>銭一貫文=千文で、
>一朱(一両の1/16)が三百文余りですから、
>五貫はおよそ五両に相当します。

一両の1/16が300文で1貫が千文→5貫が五千文
であるとすると、5貫は約1両と200になります。

投稿: 通りすがり | 2006.02.23 14:24

すいませーん。

ご指摘の通り、計算間違いでした。
謹んでお詫びします。

なお、厳密に言えば、江戸時代を通じて流布した
「寛永通宝」を基準にすると、その重量から、
一貫は千文にちょっと足りない960文のレートで通用したので、
それで計算すると、

四貫文=一両で、
一両=960×4=3840文となり、
五貫文=4800文=一両+960文=一両一分

となりますね。

いずれにしても、おおよそ「通りすがり」さんの
言われるとおりで、

五貫はおよそ一両あまり

と訂正させて頂きます。ご勘弁を。
それにしても、あー、ややっこしい。

投稿: たか | 2006.02.23 21:11

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