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2005.02.27

黄金の大黒(きんのだいこく)  落語

この噺、長屋の喧騒な雰囲気が、よく出てますね。 この1枚:黄金の大黒

長屋の一同に
大家から呼び出しがかかった。

日ごろ、店賃なんぞは爺さんの代に払ったきりだ
とか、
店賃? まだもらってねえ、
などどいう
輩ばかりだから、
てっきり滞納で店立ての通告か、と戦々恐々。

ところが、
聞いてみるとさにあらず、子供たちが普請場で砂遊びをしていた時、
大家のせがれが黄金の大黒さまを掘り出したという。

めでたいことなので、
長屋中祝ってお迎えしなければならないから、
みんな一張羅を着てきてくれと大家の伝言。

ごちそうになるのはいいが、
一同、羽織なぞ持っていない。

中には、
羽織の存在さえ知らなかった奴もいて、一騒動。

やっと一人が持っていたはいいが、
裏に新聞紙、右袖は古着屋、左袖は火事場からかっぱらってきた
という大変な代物だ。

それでも、ないよりはましと、
かわるがわる着て、
トンチンカンな祝いの口上を言いに行く。

いよいよ待ちに待ったごちそう。

鯛焼きでなく本物の鯛が出て寿司が出て、
みんな普段からそんなものは目にしたこともない連中だから、
さもしい根性そのままに、
ごちそうのせり売りを始める奴がいると思えば、
寿司をわざと落として、
「落ちたのはきたねえからあっしが」と六回もそれをやっているのもいる始末。

そのうち、お陽気にカッポレを踊るなど、
のめや歌えのドンチャン騒ぎ。

ところが、
床の間の大黒さまが、俵を担いだままこっそり表に出ようとするので、
見つけた大家が、
「もし、大黒さま、あんまり騒々しいから、
あなたどっかへ逃げだすんですか」
「なに、あんまり楽しいから、仲間を呼んでくるんだ」

【うんちく】

爆笑王・キンゴローが東京に紹介

明治末から昭和初期にかけて、
初代桂春団治の十八番だった上方落語を、
柳家金語楼が東京に持ってきて、脚色しました。

戦前には「兵隊」ほか新作落語で売れに売れ、
戦後はコメディアンとして舞台、映画、テレビと
大活躍した、あの金語楼(1901~72)です。

現在も、けっこう演じられるポピュラーな噺ですが、
なぜか音源は少なく、現在CDで聴けるのは
立川談志と大阪の笑福亭仁鶴のものだけです。
初代春団治、金語楼とも、残念ながらレコードは
残されていません。

オチはいろいろ

東京では、上のあらすじで紹介した
「仲間を呼んでくる」がスタンダードですが、
大阪のオチは、長屋の一同が
「豊年じゃ、百(文)で米が三升」
と騒ぐと大黒が、
「安うならんうちに、わしの二俵を売りに行く」
と、いかにも上方らしい世知辛いものです。

そのほか、
「わしも仲間に入りたいから、
割り前を払うため米を売りに行く」
というのもありますが、ちょっと冗長でくどいようです。

大黒さまは軍神マルス?

大黒天は、もとはインドの戦いの神で、
頭が三つあり、怒りの表情をして、剣先に
獲物を刺し通している、恐ろしい姿で描かれていました。

ところが、軍神として仏法を守護するところから、
五穀豊穣をつかさどるとされ、のちには台所の守護神に転進。

えらい変わりようであります。

日本に渡来してから、イナバのウサギ伝説で知られるとおり、
大国主信仰と結びつき、「大黒さま」として
七福神の一柱にされました。

血なまぐさいいくさ神から福の神に。
これほどエエカゲンな神サマは、世界中見渡しても
いないでしょうね。

七福神の一員としてのスタイルはおなじみで、
狩衣に頭巾をかぶり、左肩に袋を背負い、右手に
打ち出の小槌を持って、米俵を踏まえています。
福の神として広く民間に信仰され、
この噺でも、当然袋をかついで登場します。 

江戸の風物詩・大黒舞い

江戸時代には、大黒舞いといい、
正月に大黒天の姿をまねて、
打ち出の小槌の代わりに三味線を手に持ち、
門口に立って歌、舞いから物まね、道化芝居まで演じる芸人がありました。

吉原では、正月二日から二月の初午(はつうま)にかけて、
大黒舞いの姿が見られたといいます。

「黄金の大黒」のギャグから

大家が自分のせがれのことを、
「わが子だと思って遠慮なくしかっておくれ」
と言うと一人が、この間、大家の子が
小便で七輪の火を消してしまったので、
「軽くガンガンと・・・・」
「げんこつかい?」
「金づちで」
「そりゃあ乱暴な」
「へえ、お礼にはおよびません」

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