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2005.05.16

権助魚(ごんすけざかな)  落語

権助は、気の利かない男の代表格。今度もハラハラです。

だんながこのところ
外に愛人を作っているらしい
と嗅ぎつけたおかみさん、
嫉妬で
黒こげになり、いつもだんなのお供をしている
飯炊きの権助を呼んで、
問いただすが、シラを切るので、
饅頭と金三十銭也の出費で
たちまち買収に成功。

両国の広小路あたりで、
いつもだんなが権助に
「絵草紙を見ろ」と言い、
主命なのでしかたなく店に入ったすきに
逃走する事実を突き止めた。

今度お伴をしたら間違いなく後をつけて、
だんなの行き先を報告するように命じたが……。

何も知らないだんな、
いつもの通り、
田中さんの所へ行くと言って、
権助を連れて出かける。

この田中某、
正月には毎年権助にお年玉をくれるだんななので、
いわば三者共謀。

例によって絵草紙屋の前にさしかかるが、
今日に限って権助、
だんながいくら言っても、
「おらあ見ねえ」の一点張り。

ははあと察しただんな、
作戦を変え、
餠を食って行こうと食い気で誘って、
餠屋の裏路地の家に素早く飛び込んだ
……かに見えたが、
そこは買収されている権助、
見逃さずに同時に突入。

ところが、
だんなも女も、かねてから、
いつかはバレるだろうと腹をくくっていたので泰然自若。

「てめえが、家のかみさんに
三十銭もらってるのは顔に出ている。
かみさんの言うことを聞くなら
だんなの言うことも聞くだろうな」

逆に五十銭で買収。

駒止で田中さんに会って、
これから網打ちに行こうと、
船宿から船で上流まで行き、
それから向島に上がって木母寺から
植半でひっくり返るような騒ぎをして、
向こう岸へ渡っていったから、
多分吉原でございましょう、
茶屋は吉原の山口巴、
そこまで来ればわかると言え、
と細かい。

「ハァー、向島へ上がってモコモコ寺……」
「そうじゃねえ、木母寺だ」

その上、万一を考えて、
別に五十銭を渡し、
これで証拠品に魚屋で川魚を買って、
すぐ帰るのはおかしいから
日暮れまで寄席かどこかで
時間をつぶしてから帰れ、
とまあ、徹底したアリバイ工作。

権助、指示通り日暮れに魚屋に寄るが、
買ったものは鰹の片身に伊勢海老、
目刺しにカマボコ。

たちまちバレた。

「……黙って聞いてれば馬鹿におしでないよ。
みんな海の魚じゃないか。
どこの川にカマボコが泳いでるんだね」
「ハア、道理で網をブッて捕った時、みんな死んでた」

【うんちく 高田裕史】

ゴンスケは一匹狼?

権助、再び登場です。

「権助提灯」でご紹介した通り、
権助は落語国限定のお国訛りをあやつって
江戸っ子をケムにまく、商家の飯炊き男ですが、
決して与太郎のように頭の弱い者として
見下される存在ではなく、
江戸の商家の、旧弊でせせこましい習俗を
ニヒルに茶化し、あざ笑う一種の批判者として登場します。

「権助芝居」でも、
町内の茶番(素人芝居)で
泥棒役を押し付けようとする番頭に、
「おらァこう見えても、田舎へ帰れば地主のお坊ちゃまだゾ」
と、胸を張って言い放ち、精一杯の矜持を示す場面があります。

蛇足ですが、昭和40年代に藤子不二雄氏がヒットさせた
ギャグSF漫画「21エモン」では、この「ゴンスケ」が、
守銭奴で主人を主人とも思わない、中古の
芋掘り専用ロボットとして、みごと「復活」を遂げていました。

噺の成り立ち

上方が発祥で、「お文さん」「万両」の題名で演じられる噺の
発端が独立したものですが、
いつ、だれが東京に移したかは不明です。

明治の二代目三遊亭小円朝(前名・初代三遊亭金馬で、
五代目古今亭志ん生の最初の師匠)や二代目古今亭今輔が
「お文さま」「おふみ」の演題で速記を残していますが、
前後半のつながりとしては、後半(「おふみ)」の冒頭に
権助が魚の一件でクビになったとして
辻褄を合わせているだけで、筋の関連は直接ありません。

なお、古くは、「熊野の牛王(ごおう=護符)」の
別題で演じられたこともありましたが、
この場合は、お内儀さんが権助に白状させるため、
熊野神社の護符をのませ、それをのんで嘘をつくと
血を吐いて死ぬと脅し、洗いざらいしゃべらせた後、
「今おまえがのんだのは、ただの薬の効能書だよ」
「道理で能書(=筋書き)をしゃべっちまった」
と、サゲになります。

絵草子屋

役者絵、武者絵などの錦絵を中心に、
双六や千代紙などのオモチャ類も置いて、
あんどん型の看板をかかげていました。

明治中期以後、絵葉書の流行に押されて次第にすたれましたが、
明治21年ごろ、石版画の美女の裸体画が
絵草子屋の店頭に並び、評判になったと
山本笑月(1873~1936)著「明治世相百話」にあります。

「おふみ」(後半)

日本橋の大きな酒屋で、だんなが外に囲った、
おふみという女に産ませた隠し子を、
万事心得た番頭が一計を案じ、
捨て子と見せかけて店の者に拾わせます。

ついでに、だんな夫婦にまだ子供がいないのを幸い、
子煩悩な正妻をまんまとだまし、
おふみを乳母として家に入れてしまおうという
悪らつな算段なのですが……

いや、結構笑えます。
お後はどうなりますやら。
詳しくは、アップをどうぞご期待ください。

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