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2005.07.30

第445回 TBS落語研究会

二代目「江戸前」正朝、暑気払いの痛快なタンカ!

●第445回 落語研究会 2005年7月27日 国立劇場・小劇場

演目         演者        たか評

猫と金魚        五街道喜助   ★★
団子坂奇談   入船亭扇辰   ★★★                   
将棋の殿様    柳家喜多八   ★★★
擬宝珠       柳家喬太郎  ★★★★
祇園祭        春風亭正朝  ★★★★     

【寸評】

●喜助 前回(2004.12)より口跡はずっとよくなった。ただ、噺は型通り無難にこなしているだけ。まだ硬い硬い。祝ご襲名。

●扇辰 淡々としたよどみない語り口はよいが、説明・描写過剰が気になる。また、そば屋になった後の弥太郎はのびきってコシがなく、フニャフニャ。もと侍の片鱗さえまったく感じられない。 

●喜多八 御取り払いの金銀を手討ちにさせ、「死骸」を引き渡させるなど、独特のキツイギャグで喜多八節全開。ただ、こうした無骨一辺倒の噺は、この人のニンに合うとは思われず、かなり持ち味を削いでいたのは残念。三太夫の描写は若すぎて老獪さに欠ける。膝をハッシと打つ気合は見事。 

●喬太郎 金属嗜好症の一家を思い切りヘンタイ的かつ漫画的に描き、古色蒼然とした噺を奇想天外な爆笑編に再生させたのはご立派。「……死んじゃいなさい」など、「普通人」・熊さんの毒舌が、この仁らしく冴えに冴えた。タイガー&ドラゴンのマクラには笑えました。  

●正朝 噺としてはトリの重みに欠けるものの、師匠・柳朝写しの江戸っ子のタンカは歯切れもよく爽快。今時、これほど小気味いいベランメエがしゃべれる噺家は貴重。ダレやすい前半の、茶店の婆さんに道を聞くくだりもきっちりこなした。 

トビックス 

今回開口一番を勤めた五街道喜助が、9月に真打昇進披露。三代目(?)桃月庵白酒(とうげつあん・はくしゅ)を襲名します。107年ぶりの復活とか。 

あらすじ

●団子坂奇談

本所の旗本の次男坊・生駒弥太郎は、ある年の花見時、
評判の団子坂の桜を見物した帰途、おかめやというそば屋に入った。

応対に出てきたのが店の看板娘で、名はおきぬといい、
小町と呼ばれるほど、界隈では評判の美人。
弥太郎、その町人離れしたしとやかな美しさに、たちまち一目ぼれ。
屋敷に帰ると、とうとう恋わずらいで臥せってしまう。

心配した両親、身分違いながらせがれの命には替えられないと、
おきぬを嫁にとおかめやに申し込んだが、
父親であるそば屋の主人は、一人娘の上、親一人子一人で、
おきぬが店をすべて切り回しているので、嫁にはやれないと断る。

ところが弥太郎はあきらめきれず、それなら自分が町人になり、
おかめやに婿入りすると言い出し、双方の親の反対を押し切って、
店の裏手に空店を借りて下宿し、
強引におかめやでそば職人の修行を始めた。

家から何がしかの仕送りをしてもらい、
おきぬに気に入られたいために、陰日向なく懸命に働くので、
主人のおぼえもめでたく、婿入りも決まったも同然。

その夏、蒸し暑い晩のこと。弥太郎が暑さで寝付けず、悶々としていると、
夜更けに表のおかめやの庭先で、コトンコトンと駒下駄の音。

不審に思ってそっと外をのぞくと、何とおきぬが、
いつになく険しい顔で、弥太郎の部屋をうかがっている。
そのうち外に出て行くので、驚いて月明かりを頼りに跡をつけると、
三崎坂下あたりで見失ってしまう。

仕方なく部屋に帰り、小半刻ばかりすると
また駒下駄の音がし、おきぬが戻った様子。

翌朝、おきぬは普段とまったく変わらないので、
ますます疑心をつのらせた弥太郎、
その夜も翌晩も寝ずに見張っていたが、おきぬは現れなかった。

それからしばらくして梅雨の明けた、また寝苦しい夜。
弥太郎が寝付けずにいると、夜更けにあの駒下駄の音。
今度こそは逃がさないと、草履はだしのまま跡をつけると、
おきぬは三崎坂の手前を、谷中の墓地の方へ。

墓場へ入ると、墓石の間を、何か探している様子。
と、そこは新仏の、真新しい土饅頭。
おきぬは塔婆を引き抜き、土を掘って赤ん坊の死骸を引っ張り出し、
腕にかじりついてむしゃむしゃ食い始めた。

あまりの恐ろしさに逃げようとするはずみ、小枝を踏んでしまった弥太郎、
ぽきっという音に振り返ったおきぬの顔は、
この世のものとも思われない鬼女のもの。

悲鳴をあげて一散に逃げ帰ると、表戸をたたく音。
「……弥太郎さん、空けてください」と、弱々しいが凄みを帯びたおきぬの声。
弥太郎が布団をかぶってガタガタ震えていると、
おきぬは今夜見たことは決して他言しないよう哀願し、立ち去る。

翌朝、もうこんなところは恐ろしくてとてもいられないと、
弥太郎は意を決して主人に一部始終を打ち明け、暇を請う。

黙って聞いていた主人、意外にも平然と、
そんなこと、おまえが暇を願うほどのことではないと言い放つ。

「いいかい、ウチのおきぬが赤ん坊の腕をかじったぐらい、何でもない。
おまえだって、いまだに親のすねをかじっている」。

*「脛かじり」によく似た猟奇噺。あるいは、その改作かもしれません。

●擬宝珠(ぎぼし)

さるご大家の若だんなが長わずらい。
医者も、何か思い詰めていることが叶えられれば治ると言うばかり。

そこでだんな、若だんなの幼なじみで店に出入りの職人・熊さんに、
せがれの望みを聞き出してほしいと頼む。

熊さんが問いただしても、若だんなは、
自分の願いはとても叶えられないから、このまま死んでいくと投げやり。

そこをなだめすかして、ようやく聞き出した「悲願」を聞いて、熊さん唖然。

この若だんな、幼い時分から、橋の欄干の、金属の擬宝珠をなめるのが好きで、
隅田川の橋という橋はすべて賞味し尽くしたので、
最後の望みとして浅草寺の五重塔の、てっぺんの擬宝珠をなめたいと言う。
仰天した熊さん、すぐだんなに御注進すると、

「こいつは驚いた。実はオレも婆さんも、擬宝珠が大好物なんだ。
血は争われねえもんだ」。

大変な一家があったもの。

せがれの一命には替えられないと、早速寺に手を回して許可を得、
鳶頭が出張して足場を組むなど大騒ぎ。

若だんな、勇んで塔のてっぺんに登ると、
ベロベロベロとうまそうになめた。

十分に堪能して、若だんなは病気もどこへやら、
青白かった顔色も血色が戻り、元気いっぱいで下りてくる。

「おい、うまかったか?」
「タクアンの味がしました」
「塩気が強かったか。タクアンの塩ならどのくらいだ? 四升か五升か?」
「いえ、六升(=緑青)の味でした」。

*「金の味」として、「千字寄席」で近日アップ予定です。明治の初代三遊亭円遊の速記では、秘密を聞き出すのは、欲張り幇間の桜川長光となっています。

◆次回(第446回)落語研究会は、8月31日(水)です。

出演予定・演題

●柳家三太樓  動物園の虎 
●橘家圓太郎  棒鱈   
●五街道雲助  九州吹き戻し
●柳亭市馬   喜撰小僧 
●柳家さん喬  木乃伊取り

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