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2005.11.12

朝友(あさとも)/落語

●「産地直送のお歳暮」都道府県イメージランキング
「98.5%」が「産地直送の御歳暮」と言う言葉で「北海道」をイメージ。二位の新潟は20%と大差
順位 都道府県 得票数 得票率
1位 北海道 3901 98.5%
2位 新潟県 800 20.2%
3位 青森県 770 19.4%
4位 鹿児島県 664 16.8%
5位 福岡県 562 14.2%
6位 沖縄県 431 10.9%
7位 京都府 398 10.1%
8位 宮城県 363 9.2%
9位 長野県 353 8.9%
10位 山形県 346 8.7%
『「産地直送品の御歳暮」と言う言葉でイメージする都道府県を3つ選んでください』と聞いたところ3901人(98.5%)が「北海道」を選択した。二位の新潟県(800人(20.2%))の約5倍の得票率を得ている。また、得票率も98.5%とほぼ100%に近いポイントを得ており、「産地直送=北海道」のイメージは強固である。二位以下は東北勢、九州、沖縄勢と南北端が上位を占めているが、その中に8位に京都がランクイン。

※得票率=サンプル数(3960人)のうち、この項目に投票した人の率。一人3問回答なので、全回答の得票率合計数が100%になるわけではない。
<調査概要>
1. 調査対象: 北海道.co.jp発行メールマガジン「北海道へいこう!」読者様(約20万人)にむけて協力を依頼
2. 調査方法: 公開型インターネットアンケート
3. 調査期間: 平成17年11月7日~11月10日
4.有効回答者数3960名(男性:2026 女性:1934))
出典:お歳暮なら「北海道・しーおー・じぇいぴー」

幽霊の金貸し。珍しい噺です。

病気で、この世とおさらばした男。

気づいてみると、
なんだか暗いところに来ていて、
今どこにいるのやらさっぱりわからない。

うろうろしていると、
ふいに女に話しかけられてびっくり。

よく顔を見ると、
これが稽古所でなじみのお里という女。

再会を喜び合ううちに
「死んでしまった今となってはどこに行くあてもないから、
お手伝いでもよいからあなたのそばに置いてください」
と、女が言う。

男は、高利貸しを営む日本橋伊勢町の文屋検校という者の息子なので、
いっそ地獄に行って、
親父の借金を踏み倒したままあの世へ逃げた奴らから取り立て、
そのまま貸付所の地獄支店を開設してボロもうけ、
という太い料簡になり、そのまま渡りに船と夫婦約束。

ついでに、意気揚々と三途(さんず)の川も渡ってしまった。

ところが、
地獄では閻魔(えんま)大王がお里に一目ぼれ。

ショウヅカの婆さんに預け、
因果を含めて自分の愛人にしようという魂胆。

亭主は死なしておいてはじゃまだから、
赤鬼と青鬼に命じて、ぶち生かそうとする。

そこはさすがに金貸しの息子、
親父が棺に入れておいてくれた、
シャバのコゲつき証文で鬼を買収し、脱走に成功。

たどりついた三途の川のほとり、
ショウヅカの婆さんの家では、
毎日毎日、哀れ、お里が婆さんに責めさいなまされている。

「おまえ、いったい強情な子じゃないか。
あの野郎はもう、赤と青が、針の山の裏道でぶち生かしちまったころだよ。
あんな不実な奴に操を立てないで、大王さまのモノになれば、
栄耀栄華(えいようえいが)は望み次第。玉の輿(たまのこし)じゃないか。
ウーン、まだイヤだとぬかすか。
それじゃあ、手ひどいこともせにゃならぬ」
と、襟髪取って庭に引き出し、
松の根方にくくりつけた。

折しも、降りしきる雪。

極楽の鐘の音が、ゴーン。

男が難なく塀を乗り越え
「お里さん」
「そういう声は康次郎さん」

急いで縄を切り、二人手に手を取って逃げだしたとたん、
シャバでは「ウーン」とお里が棺の中で息を吹き返す。

それ、医者だ、薬だ、と大騒ぎ。

生き返ったお里の話を聞いて、
急いで先方に問い合わすと、向こうも同じ騒ぎ。

来あわせた坊さんが
「幽霊同士の約束とは面白い。
昔、日向の松月朝友という方が、
やはり死んで生き返ってみると、姿は文屋康秀。
それが伊勢に帰ると言って消えたという話があるが、
こちらが小日向の松月堂、向こうが伊勢町の文屋検校。
康秀と康次郎。語呂が合うのは縁ある証拠。早く二人を夫婦にしなさい」
「でも和尚さん、向こうの都合もあります」
「いや幽霊同士、しかも金貸し。アシは出すまい」

【うんちく】

噺のなりたち

平安時代中期の歌人で六歌仙の一・文屋康秀
(ぶんやのやすひで、生没年不詳)を題材とする民間伝承に、
同じく平安時代成立の「日本霊異記」や「今昔物語集」に多く見られる
死人が蘇生して地獄の様を語る仏教説話が結びついて
原型ができたと思われます。

江戸時代の笑話としては、明和5年(1768)刊の
「軽口はるの山」中の「西寺町の幽霊」、天明3年(1783)刊
「軽口夜明烏」中巻「死んでも盗人」が原話とされます。

前者では、幽霊が「ゴーストバスター」に
墓穴を埋められて戻れなくなり、消えることもできずに
「ああ、もはやおれが命もこれぎりじゃ」と嘆くオチ、
後者は盗人が地獄の番人になぐられて、
「当たり所が悪くて」蘇ってしまうお笑いで、
この噺の後半の、二人が蘇生するくだりの原型としては
後者がやや近いでしょう。

また、お里がショウズカの婆さんに雪責めにされるところは、
新内の「明烏夢淡雪」(→「明烏」)中の
遊女・浦里雪責めの場面を採ったものです。

松月朝友

詳細は不詳です。

あらすじの参考にした四代目橘家円喬の
明治27年の速記では、「トモフサ」と
ルビが振ってありますが、誤植と思われます。

高利貸し

民間では座頭金(ざとうがね)といいます。

盲人の位階で最下位の座頭が、溜め込んだ小金を元手に
貸金業を営むことはよくありましたが、
これが最高位の検校ともなれば、大名貸しで
巨富を築くものも少なくありませんでした。

円朝作の、現在でもしばしば口演される
「真景累ヶ淵(しんけいかさねがふち)」の発端で
旗本・深見新左衛門の屋敷に、
貸金の取立てに行って斬殺される
按摩の皆川宗悦も、この座頭金を営み、
その金利は五両に一分で返済期限四月という、
現在の悪徳サラ金並みの高利でした。

ショウズカの婆さん

脱衣婆(だつえば)ともいい、
地獄の入口・三途の川の岸辺で
亡者の衣服をはぎ取り、
衣領樹(えりょうじゅ)という木の上にいる
懸衣翁に渡すのが仕事の鬼婆です。

「ショウズカ」は「生塚」とも書きますが、
「三途河(さんずか)」がなまったものです。

水木しげるの怪奇漫画では常連ですね。

落語でも、「地獄八景」「死ぬなら今」など、
地獄を舞台にした噺にはたいてい登場。
この「朝友」では本来の悪役ですが、
ほとんどは、どちらかというとコミカルな、
情報通の茶屋の婆さんという扱われ方です。

なお、「朝友」のこの婆さんのモデルは、
前述した「明烏夢淡雪」で、遊女浦里を雪中、
割り竹でサディスティックに責めさいなむ、
吉原・山名屋のやり手のおかや婆あです。

完全に絶えた噺

明治の四代目円喬以後、ほとんどやり手がなかったようで、
昭和になって、昭和4年騒人社刊の「名作落語全集」中に
円喬の速記が復刻されて以来、何度か活字化されていますが、
すべてソースは円喬のものばかり。
彼以前も以後も、現在にいたるまで、
音源も含めて、他の演者の記録はまったくありません。

地獄を脱出するサスペンスなど、なかなか捨てがたいので、
どなたかがテキストレジーの上、
復活してくれると面白いのですがね。

補足・文屋と朝友

円喬の速記によると、
伊勢国の文屋の康秀が死んで地獄へ行き、
まだ寿命が尽きていないからと帰されますが、
すでに死骸は火葬にされ、戻るべき肉体がないことが判明。
困った閻魔の庁では、文屋と同日同時刻に死んだ
日向国の松月朝友の体を借りて文屋の魂を蘇生させますが、
家族が蘇った朝友を見ると、その姿は文屋に変っていて、
伊勢に帰ると言って、いずこへともなく姿を消したという
奇妙キテレツな死人蘇生譚です。

円喬は坊主に「この話は戯作(江戸の通俗読物)で読んだ」
と語らせていますが、このタネ本についてはまったく未詳です。

さらに、実在の文屋康秀はほとんど伝記も不明で、
わずかに、三河掾(じょう)となって赴任するときに
小野小町に恋歌を贈った逸話が知られているだけで、
なぜ伊勢と結びついたのかもはっきりしません。

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