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2006.11.03

落語力検定3級 第13回 正解と解説

[寄席]

問1

正解:B(三越落語会)

昭和26(1951)年から、全国で次々に民放ラジオが開局され、
落語はその電波に乗って、戦後第一次のブームを迎えます。

五代目古今亭志ん生、八代目桂文楽、三代目三遊亭金馬ら、
円熟期を迎えた巨匠連は、すべてラジオ局の専属になり、
ラジオで落語の楽しさを覚えた若い世代が、続々と寄席に詰め掛けたのです。

そんな落語の集客効果に目をつけたのが、老舗デパートの三越でした。

三越はすでに、昭和25(1950)年1月、現在なら人間国宝級の
邦楽の名人を一同に集めた「三越名人会」を開催。

第一回には、落語界を代表して桂文楽が「寝床」を演じています。

その成功に気をよくした三越は、今度は本格的な落語の名人会を企画。

劇壇のボス・久保田万太郎を顧問に迎え、
昭和28(1953)年4月11日、日本橋本店の三越劇場で第1回を開催しました。

戦前からの落語研究会(明治38年-)、東宝名人会(昭和9年-)を別にすれば、
これが戦後初の、本格的なホール落語会でした。

第1回の顔ぶれ、演目は次のとおりです。

桂小金治    三人旅
古今亭今輔   印鑑証明
柳家小さん   提灯屋
三遊亭円生   百川
桂三木助    宿屋の仇討ち
桂文楽     心眼

演者の選定は偏ることなく、新作派の今輔や、
東宝名人会専属で寄席では聴けない三代目金馬も出演。

その他、実力派ながら地味で脚光を浴びにくいベテラン、
前途の期待される若手など、幅広く門戸を開き、大好評を博しました。

京須偕充氏は「落語名人会 夢の勢揃い」(文春新書)で、
1956年当時の「三越落語会」について、
入場料が180円で、寄席の1.5倍近くしたことや、
「屏風を背に、金火鉢を演者の下手に置いた三越劇場の高座には
品格があった。いまもこの劇場の内部は戦前の装いのままだが、
その古めかしさは落語家の着物姿に映りがいい」
などと、つづっています。

1977年までは毎月の開催でしたが、78年から年に2-3か月の
不定休がはさまれ、2002年から隔月になりました。

2006年11月で、634回を数えます。

三越の成功を契機に、ホール落語会は花ざかりになりました。
昭和30年代以後、後発の落語会では、
東横落語会(56年5月-85年6月、294回)
NHK東京落語会(59年7月-)
紀伊国屋寄席(64年9月-)
TBS落語研究会(68年3月-)
などがあります。

Aの東横落語会は、
「芸術祭男」の異名を取ったプロデューサー・湯浅喜久治の企画で、
1956年5月30日に第一回を開催。

第三回から、文楽・志ん生・円生・三木助・小さんの
古典落語五人男をレギュラーに固定する、マニアックな企画でした。

Cの東宝名人会は、戦前に始まった、ホール落語の草分けです。

明治以来の「落語研究会」が、落語家有志による同人組織だったのに対し、
東宝という大資本が、映画と同じく専属の芸人を抱えるところが斬新でした。

戦前は三代目三遊亭金馬、七代目林家正蔵らが専属。

日劇小劇場を皮切りに東京宝塚劇場を経て、日比谷・芸術座に会場を移し、
2005年2月、1260回で幕を閉じました。

[背景]

問2

正解:A(火の用心の夜回り)

番太郎は正式には木戸番で、町境に設けられた木戸の番人です。

江戸では、隣町との境の四辻に町木戸がありました。
木戸は夜の四つ(午後9時~11時)に閉め、明け六つ(午前5~7時)に
明けますが、番太郎はその開閉、深夜の不審者の通報、拍子木を打って
夜回りをするなどの仕事に従事しました。

通常は二人で、略称は番太。
木戸脇の木戸番屋(番小屋)に住み込みでした。

町内で雇われ、給金はわずかだったので、副業が必要で、
昼間は番屋で駄菓子、ロウソク、雑貨、草鞋、その他夏は金魚、
冬は焼き芋も売りました。

このため、木戸番屋は「商(あきない)番屋」とも呼ばれ、
結構実入りがあったので、希望者が多く、
番太郎の職は、幕末には株で売買されました。

木戸番屋と混同されやすいのが、時代劇によく出る「自身番」です。

これは、町役(ちょうやく)である商人やその番頭、大家などが
交代で詰める町内事務所で、宿直当番を店番と呼びます。

奉行所が犯人を検挙した際は、ここでまず取り調べることになっていました。

火の用心の見回りは、本来は店番の仕事ですが、
みんな当然やりたくないので、番太郎に代わってもらい、
それが定着したわけです。

番太郎は、原則的に妻帯は禁じられているので、
身寄りのない老人が多かったとか。

番太郎が主人公の噺としては、「市助酒」があります。
これは、酒乱の番太郎が、酔っ払って失敗する他愛ないもの。
現在は、ほとんど演じられません。

ほかに、冬によく出る「二番煎じ」は、
だんな衆が奉行所の厳しいお達しで、
自身で夜回りに駆り出される悲喜劇です。

[演目]

問3

正解:C(掛取り万歳)

詳しくは、「掛取り万歳」をごらんください。

上方落語では、ほとんどの噺が下座の鳴り物入りで、
陽気でにぎやかなのが特色ですが、
東京では、現在は音曲や鳴り物入りはまれです。

ただ、別に音曲噺というジャンルがあります。

今はあらかたいなくなりましたが、
かつては「音曲師」という芸人が、東京には大勢いました。

美声をきかせ、三味線を自ら曲弾きし、
江戸前の粋な節回しを競ったものです。

音曲師は長唄、義太夫、小唄に端唄、俗曲と何でもござれで、
普通は音曲のみで高座をもたせましたが、
ときには「音曲噺」という「ミュージカル落語」も演じました。

これは、義太夫や俗曲で噺をすすめていくもので、
噺の筋やギャグは二の次。もっぱらノドを披露するのが目的でした。

残念ながら、現在は音曲噺の純粋な形は、ほとんど伝わっていません。
六代目円生のみが手掛けた「豊竹屋」や、
五代目志ん生がよくやった「稽古屋」に、わずかに名残を留めるくらいです。

ただ、噺によって部分的に、音曲が披露されるものがあり、
別に、芝居噺で、ツケや三味線、笛太鼓が入る場合もあります。

今では、一部分でも下座の三味線が入れば「音曲噺」に分類します。
「野ざらし」のように、噺家が勝手な唄をうなる場面があるだけでは
このジャンルには入りません。

「掛取り万歳」は、大晦日、掛け買いの借金が払えない亭主が、
借金取り一人一人の好きなもので言い訳し、
いい気持ちにさせて踏み倒すという、能天気な噺です。

最初は狂歌好きの大家、次が芝居好きの酒屋で、
下座が入るのはこの場面。

酒屋を、歌舞伎の切腹言い渡しなどの場面に出る「上使」に見立て、
「お掛取りさまのお入りィ」と亭主が声を張り上げると、
下座が「一丁入り」などの三味線を入れます。

これに乗せて、二人が芝居っ気たっぷりに、
歌舞伎のパロディーを、掛け合いで演じるわけです。

六代目円生は、子供義太夫語りが前身だけに、美声でもあり、
こうしたところは、実に堂に入っていました。

Aの「寝床」は、だんなが下手な義太夫で、
店の者や長屋一同を悩ませる噺ですが、実際に義太夫を語る演出はなく、
だんなの芸のひどさは、聴かされている周囲の七転八倒ぶりで
間接的に表現されます。

Bの「三味線栗毛」は、五代目志ん生が好んで演じた人情噺で、
「三味線」はサゲの部分で、主人公が手に入れる名馬の名。
音曲とは関係ありません。

[噺家]

問4

正解:A(柳亭痴楽)

痴楽は、1921年5月30日、富山県生まれ。本名・藤田重雄。

1939年、七代目春風亭柳枝に入門、前座名・笑枝。
1941年1月、師匠・柳枝没後、五代目柳亭左楽門下に移籍。
四代目柳亭痴楽と改名し、二つ目に昇進。

敗戦の翌月、焼け残った人形町末広で、
正真正銘、戦後第一号の真打披露をしました。

師匠ともども、「日本芸術協会」に所属していましたが、、
同会は戦時体制の統合で、昭和15(1940)年に発足した「講談落語協会」に合併。

芸術協会が再発足するのが、1945年末なので、
痴楽はまだ、その講談落語協会での真打披露でした。

戦時中(1941-45)の真打昇進は、
1943年6月の古今亭志ん太改め、七代目志ん馬(のち二代目甚五楼)
ただ一人でした。

終戦直後は、世の中が混乱期ということもあり、
昭和20年代の昇進者は、痴楽を含めをわずか九人です。

内訳は、以下のとおり。

1946年3月 桂文雀改め、月の家円鏡(七代目橘家円蔵)
1947年9月 柳家小きん改め、九代目柳家小三治(五代目柳家小さん)
   10月 三代目三遊亭歌笑
   11月 金原野馬の助改め、華形家八百八(六代目蝶花楼馬楽) 
1948年 ? 古今亭志ん朝改め、古今亭志ん橋(十代目金原亭馬生)
1949年4月 古今亭今児改め、四代目桂米丸
      桃源亭花輔改め、初代鶯春亭梅橋
      林家正太郎改め、七代目春風亭小柳枝

当時、「若手三番烏」ともてはやされたのは、
柳亭痴楽、柳家小三治、三遊亭歌笑の3人でした。

痴楽は、協会が再分裂後は芸術協会に所属したため、
落語協会での真打第1号は、七代目円蔵ということになります。

1949年の3人を最後に、55年4月、五代目古今亭今輔門下の寿輔が
三代目三遊亭円右を襲名して昇進するまで、
6年間、真打披露の記録はありません。

上方では、伝統的に、真打制度はありません。

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