« 三助の遊び(さんすけのあそび) 落語 | トップページ | 三都三人絵師(さんとさんにんえし) »

2007.03.18

三で賽(さんでさい)

バクチのの噺。「看板のピン」という題でも聴きますね。

髪結いの亭主で、
自分は細々と人に小金を貸したりして暮らしている新兵衛という男。

死んだ親父はチョボ一の亀と異名を取った
名代のバクチ打ちだが、
親父の遺言で、決して手慰みはしてくれるな
と言われているので、身持ちは至って固い。

しかし、新兵衛がその実欲深でおめでたく、
かなりの金を貯め込んでいることを聞き込んだのが、
町内の札付きの遊び人、熊五郎と源兵衛。

ここは一つ、野郎をペテンにかけて、
金を洗いざらい巻き上げようと悪だみを練る。

二人は新兵衛に、
金持ちのだんな方が道楽にバクチを開帳するので、
テラ銭(場所代)ははずむから、
奥座敷を貸してほしいと持ちかける。

つい欲に目がくらんだ新兵衛、
承知してしまい、
臨月のかみさんをうまく言いくるめて実家に帰す。

熊と源は、仲間をだんな衆に化けさせて
当日新兵衛宅に乗り込み
「人数が足りないから、すまねえがおまえさん、
胴を取って(親になり、壺を振ること)くれ」
と持ちかけた。

親父がバクチ打ちなので、
胴元がもうかることくらいは百も承知の新兵衛、
またもう一つ欲が出て、
これも二つ返事で引き受ける。

ところが、二人が用意したのは、
三の目しか出ないイカサマ寨。

おかげで、たちまち新兵衛はスッテンテン。

その上、なれ合いげんかを仕組み、
そのすきに親父の形見の霊験あらたかな
「ウニコーロの寨」と全財産をかっつぁらって、
熊と源はドロン。

だまされたことに気づいた新兵衛だが、
もう後の祭り。

泣いていると、大家がやってくる。

「大家さん、三で寨を取られました」
「何、産で妻を取られた?」
「親父が遺言で、女房をもらっても
決してしちゃあいけないと言いましたが、
ついつい、熊さんの強飯にかかったんで(だまされたの意)」
「なに、もう強飯の支度にかかった?
そいつは手回しがいい。して、寺はどうした?」
「テラは源さんが持っていきました」

【うんちく】

ダジャレオチのバクチ噺

原話は不詳です。

明治29(1896)年の三代目柳家小さんの速記がありますが、
この噺自体は、小さん以後、ほとんど演じ手がありません。

ただ、本来この噺には、マクラとして
現在「看板のピン」と題する小咄がつきます。
これについては、そちらをご参照ください。

四代目小さんがこの「看板のピン」の部分を独立させ、
一席噺に改作したもので、
こちらは五代目小さんが継承、得意にしていました。

本体であるはずの「三で寨」がすたれたのは、
サゲがダジャレオチでくだらないのと、
ストーリーがややこしくて、すっきりしないところが
あるからなのでしょう。

わかりにくいオチ

居残り佐平次」のそれと同じく、
「だまされた」の意味の「おこわにかかる」を、
大家が葬式の強飯(こわめし=おこわ)と
勘違いしたものです。

チョボ一って?

一個のサイコロを使うので、こう呼びます。

勝てば四倍、場合によれば五倍にもなる
ギャンブル性の強いもので、
「チョボなら七里帰っても張れ」という、
バクチに誘い込むことわざもありました。

遊び人って?

博徒とゆすりかたりの両方を指しました。

とにかく「悪党」の代名詞です。

ウニコーロって?

「ウニコーロ」とはポルトガル語で、
北洋産のイルカに似た海獣とされます。

雄の門歯が一本に長く突き出しているので、
一角獣とも呼ばれます。

その牙で作ったのが、ウニコーロ(ウニコール)の寨です。

|

« 三助の遊び(さんすけのあそび) 落語 | トップページ | 三都三人絵師(さんとさんにんえし) »

落語のあらすじ 」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/60017/14298059

この記事へのトラックバック一覧です: 三で賽(さんでさい):

« 三助の遊び(さんすけのあそび) 落語 | トップページ | 三都三人絵師(さんとさんにんえし) »