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2008.06.13

地口合わせ(じぐちあわせ) 落語

「おやじギャグ」なんてさげすまされちゃ、地口が泣きますね。

隠居が俳諧に凝っているというので、
遊びに行った八五郎が、
ぜひあなたの同類にしておくんなさい
と頼み、珍妙な句会が始まった。

隠居が雪の題で
「初雪やせめて雀の三里まで」
という通句があると言うと、八五郎が
「雀が三里灸をすえたんで?」

隠居「初雪や二の字二の字の下駄の跡」
八「初雪や一の字一の字一本歯の下駄の跡」
隠居「初雪や狭き庭にも風情ある」
八「初雪や他人の庭ではつまらない」

さらに八五郎が
「初雪や鉄道馬車の馬の足跡お椀八つかな」
「初雪や大坊主小坊主おぶさって
一緒に転んで頭の足跡お供えかな」
と、迷句を連発。

隠居が、
「おまえはおしゃべりだから、
俳句より地口(語呂合わせ)の方が向いている」
と言うと、八、
「これは得意だからまかしておくんなさい」
と、これまた自信作を次から次へ。

侍がフンドシを締めて
片手に大小、片手に団扇で飛び上がっていると、
下に据え風呂桶があって、その中から煙が出ている
という長ったらしい前置きで
「飛んで湯に入る夏の武士(飛んで火にいる夏の虫)」

爺さんが集会をしているところに雨が降って
「雨降ってジジかたまる」
とまあ、やりたい放題。

「今度は狂歌七度返しはどうだ」
と、隠居が言う。

「りんりんりんと咲いたる桃さくら
嵐につられ花はちり(散り)りん」
「りんりんりんと振ったるなぎなたを
一振り振れば首はちりりん」
「りんりんりんとりんごや桃を売っている
さも欲しそうに立ってキョロリン」
「山王の桜に去るが三下がり合の手と
手と手手と手と手と」
「トテテトテトテトテテテ」
「ラッパだね。手と手と手手と手と手と」

「トテトテテテトテト」
とやっていると、表から人が
「箔屋さんはこちらですか?」

【うんちく】

名人の「遺言」

明治31(1898)年8月の「文藝倶楽部」に、
二代目柳家小さんが、禽語楼の隠居名で「ぢぐち」
と題して速記を載せたものです。

ところが、当人はその一月前の同年7月3日、
満49歳で没しているため、これは事実上の娑婆への置き土産、
遺言とでもいえるものでしょう。

実際、小さんが病床で、速記者を呼んで口述筆記させたものと
速記の断り書きにあります。

まあ、遺言がダジャレの羅列というのも、
いかにも噺家らしいといえるでしょう。

改変自在の地口噺

原話は不明で、地口(ダジャレ)を並べ立てただけのものに、
サゲの部分は「雑俳」の「りん回し」の部分を付けています。

地口そのものが分かりにくくなったため、現在では
この題で口演されることはほとんどありません。

ただ、後半部分は「雑俳」の一部となっています。

地口の部分は演者によって大幅に変わり、
例えば、こわい大家を壷で焼いて「差配(さはい=さざえ)の壷焼き」、
樽の中に子供が遊んでいて「樽餓鬼(=柿)」など。

今、シャアシャアとやれば、トマトをぶつけられるような代物ですが、
そこが「古きよき時代」だったのでしょう。

箔屋って?

箔屋は、金・銀・銅・真鍮(しんちゅう)などをたたいて、
薄く平たく延ばす商売。

オチは、トテトテトテというのを、
箔屋の槌の音と間違えたというだけ。

これをラッパに直し、
「雑俳」のマクラに使うこともあります。

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コメント

山王の桜に猿が三下がり合いの手と手と手手と手と手と

投稿: | 2015.02.06 07:11

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