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2009.04.17

雪中梅(せっちゅうばい)  落語

うーん、あまり出来のよくない人情噺ですねえ

音羽桜木町に住む、日雇い稼ぎの多吉。

二十三歳になるが、母一人子一人で大変な孝行者。

その母が病気で寝付き、
おまけに雨天続きで仕事がなく、年も越せないありさま。

かといって、
気が小さく、知人の家を回っても金を貸してくれ
と、言いだせない。

そうこうするうちの大晦日の夜も更けて、
牛込の改代町あたりりに差しかかると、
ふと目についたのが穂積利助という手習いの師匠の屋敷。

酒宴の後らしく、裏口が開いているので、
多吉はつい出来心で忍び込み、たちまち捕まってしまう。

泣いてわび、素性を残らず話したので、利助も同情し、
親孝行はいいが、以後、決して盗みはならぬ、
おまえは愚かなる者で、読み書きもできぬから
そのような料簡も起こすのだから、今後は字も習え
と、厳しくさとし、一両くれた上、餠や料理もどっさり持たせて帰す。

ところが、多吉が喜んで帰ってみると、母親が死んでいる。

今度は泣きの涙、その日のうちに葬式を出し、
年が明けて四十九日まで、欠かさず墓参を続ける。

四十九日の日、
帰ろうと隣の石塔を見ると、
何か置いてあるので手に取ると大金が入った紙入れ。

本郷二丁目絹谷彦右衛門
という豪商の名刺が入っていたので、
あわてて届けたところ、彦右衛門はその正直に感心して使用人に雇い、
やがてめでたく一人娘の婿に納まるという出世話。

【うんちく】

明治の新作人情噺

三代目春風亭柳枝(1852-1900)が作ったらしい、
あまり出来がいいとはいえない人情噺です。

明治26年1月、柳枝自身の速記があるほかは
口演記録はなく、今となっては、風俗資料と
してのみ、貴重なものでしょう。

題名の雪中梅は、冬の寒さに耐え、雪中に
花を咲かせる梅ですが、内容との関連は不明。

主人公が不孝な境遇に耐えて、やがて花を咲かせる
寓意とも考えられますが、あるいはこの柳枝の速記が
正月に掲載されたので、単にめでたい意味で
梅の一字を入れただけかもしれません。

なお、同タイトルで末広鉄腸(1849-96)作の
政治小説が、この七年前に出版されていますが、
別に関連はなさそうです。

音羽桜木町って?

現・文京区音羽一丁目、関口二丁目、小日向
二丁目にまたがっていました。

護国寺の門前町で、元は寺領でしたが、元禄10
(1697)年に町が開かれた際、大奥の中﨟・桜木に
町地が下賜されたところから、この地名が
ついたといわれます。

なお、桜木町の路地を入ったところに私娼窟が
あり、揚代は「ちょんの間二百文」だったとか。
志ん生の「お直し」で有名な、同レベルの「ケコロ」が
せいぜい百文でしたから、えらく高いですね。

  (参考:浜田義一郎編「江戸文学地名辞典」ほか)

牛込改代町って?

現・新宿区改代町。江戸川橋の東南200mほどで、
音羽桜木町とは目と鼻の先です。

落語では「ちきり伊勢屋」にもちょっと登場します。

改代町の南側一帯、神楽坂にかけては、旧幕時代には
ぎっしりと武家屋敷、旗本屋敷が並んでいました。

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