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2009.04.02

素人占い(しろうとうらない) 落語

勘当された「若だんな」系。相変わらず間抜けでのんき。

紀伊国屋という綿屋の若だんな。

略して、紀綿さんと呼ばれているが、
大変な道楽者で、吉原の花魁(おいらん)に入れ揚げて
とどのつまりは、勘当。

お天道さまと米の飯はどこでも付いて回ると
「唐茄子屋政談」の若だんなとちょうど同じことを言って、
家を飛び出し、花魁の所へ転がり込むが、
金の切れ目が縁の切れ目、体よく追い出され、
結局、見世に出入りの印判屋の喜兵衛の家で
居候(いそうろう)を決め込む身とはなった。

若だんながあまり怠け者でずうずうしいから、
案の定、かみさんが怒り出す。

喜兵衛は板挟みで、
若だんなに何か商売を、と勧めると、
今度の若だんなは易者になりたい、と言い出す。

みかん箱を一つ借り、白布を掛けて見台。
魚串が筮竹(ぜいちく)。
家の半分を借りて「人相手相墨色判断」と看板を書いてもらい、
名も平安時代の陰陽師・安倍晴明をもじって
「今晴明」というごたいそうなのを付けた。

最初に来たのは女で、三味線のお師匠さん。

母親に琴も教えたらどうかと言われ、
やった方がいいか見てもらいたいと言うので、
無理はコトだからおやめなさいとくだらない駄じゃれでごまかし、
三味線だけに心を太棹(ふとざお)に持って辛抱が肝心と、
落語家のようなことを言って帰す始末。

次は鳶頭(とびのかしら)の娘。
縁談があるが、うまくいくか見てほしいと頼む。

娘が違うと言うのに、
強引に娘は火性、先方の男は水性ということにしてしまって、
「だんなは水性だから、鰻と同じ穴っぱいり(浮気)の好きな質、
おまえさんは火だから、カッカと焼くので、釣り合わないからおやめなさい。
それよりいっそ、芸者にでも出て」
と、めちゃくちゃを言うので、娘は怒って帰ってしまう。

あとから若い者が押しかけ
「この野郎、てめえが易者か。
家の姐御をおつゥまぜっ返しゃあがったな」

ポカポカポカと殴られ、コブだらけにされた若だんな。

自業自得とはいえ、すっかり易者に懲り、
今度は医者をやると言い出す。

また看板を書換え、
今度は施しに五銭で診察すると宣伝したので、早速客が来る。

女が腰がつると言うと、
にわか医者「それは疝気(せんき)」
「疝気は男の」
「女だって疝気だ。橙の粉にマタタビをなめなさい」

喜兵衛に女は寸白(すばこ=女の生理病)と教えられ
「おまえさんは医者をやったことがあるね」
「やらなくたってわかります」

そこへ蔵前の万屋という茶問屋から、
奥方が風邪をこじらせたのでみてくれ、と言ってくる。

金になりそうだからさっそく出かけて、
かっこうをつけるため、お茶を所望。

「これはけっこうで。ご主人はどういうご流儀で?」
「千家でございます」
「それでわかった。奥さまは寸白でしょう」

【うんちく】

後継者のいない噺

大正4年9月刊「三遊連柳連名人落語十八番」に、
六代目金原亭馬生の速記が掲載されています。

この馬生は、のち四代目古今亭志ん生を襲名。
昭和の名人・五代目志ん生の二人目の師匠です。

歯切れのいい江戸前の芸風で人気がありましたが、
襲名後わずか一年あまりの大正15(1926)年1月、
48歳の若さで亡くなりました。

戦後では、故人・初代林家三平や現・橘家円蔵の師匠で、
「あのねの円蔵」こと七代目橘家円蔵がたまに
演じましたが、その没後、東京ではほとんど
演じ手はいません。

ならぬ勘当するが勘当

とうの昔に死語と化しましたが、勘当には二通りありました。

ほとんどの場合、こらしめのため、
家に出入りを禁ずるという形をとり、
落語の居候の若だんなはみなこれです。

ただ、どうにも手がつけられず、
犯罪などで親族に累を及ぼす場合は、
親類同意の上で除籍します。

これで、勘当された者は無籍、つまり無宿人となります。
その名を記載したのが久離(きゅうり)勘当帳、
または言上帳ともいいました。
「久離を切って勘当する」というのは、
親父の脅しの常套文句でした。

これは町名主が管理し、復籍する際は
そこから名前を消します。
ついでに、これが「帳消し」の語の起こりです。

毎度お騒がせ、若だんな

毎度おなじみ、懲りない若だんな。
今回は易者志望で、また一騒動。

原話は不詳ですが、民話がルーツともいわれます。
前半は「湯屋番」「素人車」などと同じく、
勘当→居候という一連のパターンなので、
誰かがヴァリエーションを変えて
改作したのかもしれません。

「きめんさん」で演じることがあるのは、
主人公が紀伊国屋という綿屋の息子だからで、
上方ではこの題で演じられます。

また、医者の息子という設定もあります。

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