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2009.04.19

宗漢(そうかん) 落語

中国を舞台にした、艶笑落語ですね。まあ、軽めです。

中国は、魏(ぎ)の国の宗漢という医者。

この先生、名医だが大変に貧乏で、
日本でいうと裏長屋住まい。

ある雨の日、玄関先で
「お頼み申します」
という声がするので出てみると、
「楚(そ)の国からはるばるやってきたものだが、
主家のお嬢さまが長い病で難渋しているので、
先生にぜひお見舞いを願いたい」
と言う。

先生大喜びで、二つ返事で引き受けたものの、
金がないのでお供の者も雇えない。

そこで、やむなく細君を連れていくことにしたが、
医者が女の供を連れていては外聞が悪いので、
細君を男装させ、長旅をして楚までやってきた。

先方に着くと、下へも置かない大歓迎。

お茶を出されても、細君の方は返事をするとバレるので、
おっかなびっくり下を向いているばかり。

見舞ってみると、さほどたいしたことはないので、
薬を与えて帰ろうとすると、
日はとっぷりと暮れなずみ、折しも大雨が降りり出した。

いくら待っても、止む気配がない。

恐縮した主人が、一晩泊まっていくように勧めるので、
宗漢先生もその気になったものの、
この家ではあいにく、夜具を洗濯に出してしまって余分なものが今ない、
という。

そこで、まことに申し訳ないことながら、
先生は十一歳になる息子と寝ていただき、
お供の方は、手前の家の下男とかじりついて、
肌と肌とを押しつけて寝ていただくと暖かでございます、
ときたので、先生仰天したが、
今さら自分の女房だと言うわけにもいかず、
とうとうその晩は心配のあまり、まんじりともせず夜を明かした。

翌朝、
宗漢夫婦が帰ったあと、例の十一歳の息子が
「お父さん、昨夜ボク、あのお医者さんと寝たでしょ。
あのオジサン、貧乏だね」
「なぜ」
「フンドシしてなかったよ」

それを聞いていた下男が
「そりゃそうだろう。あのお供なんか、金玉がなかったからな」

【うんちく】

2,000kmをワープした医者

魏・楚ともにBC4~3世紀の戦国七雄の一。
魏は山西省南部から河南の北部一帯にかけて、
楚は揚子江中流一帯を占めていました。

隣国とはいえ、日帰りなどとてもできませんが、
時空間をものともしないのが、
落語の落語たるところです。

細君に男装?

何のことはなく、簪を抜かせただけです。

昔、中国では男女とも、服装から髪型から
まったく同じで、これでは困るというので、
女には目印として簪を付けさせたというのが
この噺の前提ですが、もちろん、噺家のヨタを
真に受けられては困ります。

二重にアブない? エロ噺

原話は不詳。四代目橘家円喬が明治28年8月、
「百花園」に寄せた速記以後、内容が内容だけに
演者の記録はもちろんありません。

「薬籠持ち」と題して、バレ小咄として演じるときは、
宗漢を日本の医者にし、薬籠(=薬箱)持ちの下男を
クビにしたばかりなので、仕方なくかみさんを
男装させて出かけることにしています。

その場合、中国のようにはいかないので、ちゃんと
男の着物を着せ、頭には頭巾をかぶせて、
下男に化けさせています。

往診先は山向うの村の金持ちで、医者は
診察したばかりの子供といっしょに寝かされます。

オチは、貧乏医者で「金がない」という
ダジャレを含んでいますが、勘ぐれば少年愛の
においまでする、アブない噺ではあります。

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