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2009.05.13

二階の間男(にかいのまおとこ) 落語

不道徳きわまりない噺。たまにはいいかもしれません。

ある夫婦、茶飲み話に亭主の友達の噂話をしている。

「畳屋の芳さんは粋でいい男だなァ」
「あらまァ、私もそう思っているんですよ。
男っぷりもよし、読み書きもできるし、子供好きで付き合いもいいし」
「おらァ、男ながら惚れたョ」
「あたしも惚れましたよ」

ところが、間違いはどこに転がっているかわからないもので、
この女房、本当に芳さんに惚れてしまった。

こうなると、もう深みにはまって、
はらはらどきどき密会を重なるうち、
男の方はもうただでは刺激がないとばかり、
一計を案じて、亭主のいる所で堂々と間男してやろうと、
ある日、ずうずうしくも乗り込んでくる。

「実はさる亭主持ちの女と密通しているので、
お宅の二階を密会の場所にお借り申したい」
というのである。

間抜けな亭主、わがことともつゆ知らず、
そいつは面白いというわけで、
言われるままに当の女房を湯に入ってこいと追い出し、
ごていねいにも
「情婦は明るい所は体裁が悪いと言っているから、
外でエヘンとせき払いをしたらフッと明かりを消してください」
という頼みも、二つ返事。

こううまくいくと、かえって女房の方が心配になり、
表で姦夫姦婦の立ち話。

「あたしゃいやだよ。そんな馬鹿なことができるもんかね」
「まかしとけ。仕上げをごろうじろだ」
「明かりをつけやしないかしら」

亭主は能天気にパクパクと煙草をふかした後、
かねての合図でパッと灯火を消すと、
あやめも分かたぬ真っ暗闇。

「どこの女房だか知らないが、ズンズンお通んなさいよ」

うまくいったとほくそ笑んだ二人。
女房は勝手を知ったる家の中。

寝取られ亭主になったとも知らず
「この闇の中で、よくまァぶつからねえで、
さっさと上がれるもんだ」
と、妙に感心しているだんなを尻目に、
二階でさっさとコトを始めてしまった。

亭主、思わず上を眺めて
「町内で知らぬは亭主ばかりなり。
ああ、その間抜け野郎の面が見てえもんだ」

【うんちく】

二階付き長屋

「三軒長屋」にも登場しました。

二階付き長屋は数が少なく、おもに鳶頭の
ように、大勢が出入りする稼業の者が借りました。

故人・八代目林家正蔵が、終生、浅草・稲荷町の
二階付き長屋に住んでいたことはよく知られています。

円生の隠れた逸品?

原話は、天保13(1842)年刊の「奇談新編」中の漢文体笑話です。

明治23年5月、「百花園」に掲載された
初代(鼻の)三遊亭円遊の速記が残っています。

「紙入れ」「風呂敷」と同じく、間男噺ですが
そのカゲキ度では群を抜いていて、
現在、継承者がいないのが惜しまれます。

噺が噺だけに、あの謹厳実直を絵に描いたようなイメージの
六代目三遊亭円生の速記が残るのが珍しく、
また、貴重なものです。

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