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2009.05.31

花嫁の屁(はなよめのへ) 落語

もとは、小咄かマクラ程度の軽い噺だったものです。

ある田舎で婚礼があった。

ところが、いよいよ三三九度という時、
花嫁が衆人環視の中「プーッ」と一発。

面目ないと、あっという間に裏の井戸に身を投げた。

すると、花嫁の両親も、
娘の不始末のおわびと、同じく井戸にドボン。

今度は婿さんが、
嫁の一家だけ死なせては義理が立たないと、
これも井戸へ飛び込んだ。

これを見ていた婿さんの両親、
せがれと嫁が死ぬならあたしたちもと、
これまた井戸底に直行。

最後に残った仲人夫婦、
みなさんがお飛び込みなら、あたしたちもこうしてはいられないと、
後を追って飛び込もうとしたら、
井戸のところに赤い札で「満員」。

【うんちく】

時代を感じさせるサゲ

サゲは、路面電車に、当時(明治末から大正初期)
「満員」の赤札が下がったことからきています。

噺としては面白いのですが、時代色がつき過ぎ、
現代の客にはまるで理解できないので、
このあたりをうまく改作しないと、とうてい
高座には掛けられないでしょう。

当時の東京の市電はやたらに故障し、
満員になると、どんなに客が待っていてもあっさり
通過してしまうので、評判は最悪だったとか。

大正中期ですが、添田さつき・作の「東京節」に

♪東京の名物満員電車
 いつまで待ってても乗れやしねえ
 乗るにゃケンカ越し命がけ
 やっとこさと空いたのが来やがっても
 ダメ、ダメと手を振って
 そのまま乗せずに行きゃあがる
 なんだ、故障車か ボロ電車め

という一節があります。

誰か演らないか?

速記、音源はおろか、口演記録もまったくない
幻の珍品です。ちょっとご愛嬌にご紹介しました。

三代目三遊亭円馬が明治末期、立花家左近時代に
作ったという掌編で、マクラにでも使っていたのでしょう。

それにしては、実に皮肉な、カラシがきいた逸品で、
埋もれさせるにはちと惜しいブラック落語です。

円馬に前座・二つ目時代に仕込まれた八代目桂文楽が、
自伝「あばらかべっそん」中で梗概を紹介しています。

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