第4回 志ん生のギャグと名セリフ「王子の狐」
○…狐が人に化かされる、という逆手を使った傑作。サゲも胡椒が効いている。志ん生のは短いが、どの場面も抱腹絶倒のギャグが満載。ご紹介しなかった場面でも、男が折り詰め2人前かたり取るおかしさなど、「鰻の幇間」を思わせる。今回は第二幕「扇屋二階の場」、第三幕「友人宅の場」大詰「元の狐穴の場」から。
化けの皮がはがされて……
扇屋の源公:「二階なんだァい? え? なにがいるんだい、二階にィ? 俺が行ってやろうじゃァねえかァ、え? はばかりながらなァ、扇屋のなァ源公が、ここにがんばってるからにゃあなァ、驚くんじゃねえんだァ、ンとにィ。大蛇でもとぐろ巻いてんのか? 鬼がケツでも出してんのかい? 天狗があぐらけえてんのかべらぼうめェ。驚く源公じゃァねえやァ本当にィ。源公、知らねえかァ? 拳固(=源公)で殴るぞォ」
ところが、狐と聞いたとたん……。
友情ある説得
友人某:「相手がおめえ、甲羅をへてえるような、酒でもなんでも飲むような狐だから、おまえさんの恨みはもう、忘れやしないからねェ、だから、家ィ行ってごらん、もうおかみさんの方へもう狐が、ナニしてるから、うん。かみさんの口ィとんがらかってるから……。ねえ、はたきなんぞ持って方々掃除ィしてえたって、もうダメだよ、うん。『今頃までェ、どこィ行ってたんだい、本当にィ。テケレーテケレーテケレーテケレー』なんて方々はたいてたのが、ぱーんと飛び上がって」
かくて、奇怪な三角関係が……?
子供にヨイショはしたものの
源兵衛:「あれァ、狐の子だよ、かわいいもんだねェ、え? 出てきやァがった、ああ、ちょいと、お嬢さんかい、おまえさんは? 坊ちゃんですか? お嬢さんだァ、ね? うん。いい子ねェ、いい子いい子、うん。いいお毛並みですよ、うん」
なんでもなさそうで、これ、ジワジワと笑える。
復讐の連鎖
母狐:「ちくしょう、誰がかんべんなんぞするもんか」
畜生がちくしょうとは、これが本当のコンちくしょう。
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コメント
読みにくい上に寒い。期待してなかったが想像以下
志ん生さん好きを敵に回す素晴らしい出来ですね
投稿: | 2016.08.03 05:44