« 第4回 志ん生のギャグと名セリフ「王子の狐」 | トップページ | 第6回 志ん生のギャグと名セリフ「饅頭こわい」 »

2012.07.22

第5回 志ん生のギャグと名セリフ 吹き寄せ・その1

吹き寄せ・その1

○…志ん生といえど、そうそう一つの噺をギャグだけで持たせられるわけもなく、特に人情噺などで、一席にくすぐりが一つか二つということもけっこうある。ただ、その数少ない笑いがスパイスのように効いて、暗くなりがちな噺になんともいえぬよい後味を残すことがしばしばあった。今回は「吹き寄せ」と題し、マクラや小咄を含めた、小味なギャグを寄せ集めてみた。志ん生の「一人アンソロジー」をご堪能あれかし。

発想

主人「おい、権助や」
権助「おう」
主人「今朝はずいぶんなんだな、さぶいな」
権助「寒いったってまあ、こんなに雪降ってるからな」
主人「道理で冷えると思ったな。うん、どんくらい積もったな?」
権助「そうだね、五寸くらい積もっているね。横幅はわからないけんど」(和歌三神)
                                              
 よく考えると、なかなかにシュール。

曲がったことはきらい

酔客「まっつぐやってくれ」
車屋「まっつぐ行って、どう行くんです?」
酔客「まっつぐ、ずっとまっつぐ行け」
車屋「どっか曲がるんでしょ?」
酔客「曲がんなァ、きれえだ、おらァ」
車屋「家がありますよ」
酔客「家、こわせ」(かわりめ)

 これが、夫婦純愛譚に続くとは……。

これだけですが

角太郎「これこれ、あんま」
錦木「へえ、こんばんは」
角太郎「目をあけい」(三味線栗毛)

 「差別」じゃありません。これが江戸っ子のシャレてえもんです。

粋な柄

犬「ブチィ、いいじゃねえか、おまえは。えェ、着物なんぞ、始終同じものォ着てよォ。えー、柄が少し、派手だなァ、おめえのは」(マクラ、「元犬」ほか)

 志ん生得意の擬人ギャグ。

知ったふり

甲「ウワバミってえのは、どういうわけでウワバミって言うか知ってるかい?」
乙「ウワバミってえのはおまえ、ウワバミだから、ウワバミじゃないかよ」
甲「だから、どういうわけで、ウワバミだい?」
乙「ウワバミだよ、おまえ、なあ、ウワバミってものはね」
甲「うん」
乙「あー、山ん中へ行って……うわっと口をあいてな、こう、なんかバムんだよ。ありゃあ。だからウワバミだな、うん」(マクラ、「そば清」ほか)

 こういうのは、実際に音で聴くとたまらなくおかしい。

|

« 第4回 志ん生のギャグと名セリフ「王子の狐」 | トップページ | 第6回 志ん生のギャグと名セリフ「饅頭こわい」 »

落語悠々(高田裕史)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/60017/55252242

この記事へのトラックバック一覧です: 第5回 志ん生のギャグと名セリフ 吹き寄せ・その1:

« 第4回 志ん生のギャグと名セリフ「王子の狐」 | トップページ | 第6回 志ん生のギャグと名セリフ「饅頭こわい」 »