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2012.08.01

第8回 志ん生のギャグと名セリフ「千早ふる」

千早ふる

○…志ん生流前座噺を。おなじみの知ったかぶり噺ながら、なかなかどうして、よほどの教養と創作の才がないと、これほどの見事なこじつけはできないという典型。文化のレベルは、ホラ噺とパロディーの質に比例するというのは、これ、古今東西の真理なり。思えば、江戸は早熟にして、薄命な都市だった。

知ったかぶり・その1 

甲「ちょっと聞きたいことがあるんですがね」
乙「うん、聞くってことはいいことだよ。うん。聞くは一時の恥、聞かずはマツダケの恥っていうくらいだからな」
甲「マツダケの恥って言うんですか、ありゃあ。どうしてです?」
乙「どうしてですたって、マツダケの恥じゃないか。なあ、ここにマツダケがどっさりあるのをな、人にもやらないでてめえ一人で食っちゃうだろう。食っちゃってから、ああ、一人で食いやがってざま見やがれ、意地汚しなんて恥をかくだろ」

マクラ。だじゃれも、こうまで開き直られるとねえ。
                                                
知ったかぶり・その2

甲「その中でもって、ひときわ目立ついい女(間)美人の取り締まりみてえのがでてきた」
乙「へへえ、そんなにいい女ですか?」
甲「そんなにいい女だっておまえ、うーん、こわれた金魚鉢みてえなもんだ」
乙「なんです、そのこわれた金魚鉢みてえってのは?」
甲「水の垂れるような女さ」
乙「(間)へんだよ、おまえさん」

このシャレはいまいち空振り。それを救うのが最後の、絶妙の間からのツッコミ。

知ったかぶり・その3

甲「へえー、そんな太夫がどうして乞食になるんですかね?」
乙「なろうと思やあ、なんにでもなれるんだよ。そのうちでも、乞食がいちばんなりいいんだ。おまえだってあしたっからなろうと思やあ、なれらあな。(間、投げ出すように)なるかい?」
甲(間をおかず)「やだよ、そんなの」

話は佳境に。これも音源で聴くと、たまらなくおかしい。

知ったかぶり・その4

乙(女が、竜田川に突かれて)その井戸の中へドボーンと落っこっちゃった。で、ブクブクブクッ(間)と、沈んじゃった」
甲「で、化けてでてきたんで?」
乙「いやあ、化けられねえ。腹がへってめんどくせえから、潜ったきりになっちゃった」

サゲ近く。ここで切ってもいいくらい。めんどくせえって、あんた、ねえ。                

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