TBS落語研究会

2006.03.02

第452回 落語研究会

TBS落語研究会 

楽屋感泣、シノ様人気? で満員御礼! サテ芸は?

●第452回 落語研究会 2006年3月1日 国立劇場・小劇場

演目         演者(現偏差値)    たか評

湯屋番      春風亭朝也         1
お見立て      林家彦いち(45.0)     3
花見の仇討   入船亭扇遊(52.5)      3
天狗裁き     柳家三太樓(47.5)      4
蜆売り       立川志の輔(45.0)      2

【寸評】

朝也 オチケンレベル。

彦いち 低声早口の女郎に、不思議なフラがあるが、セリフがほとんど聞き取れません。
 
扇遊 端正堅実。ただ、このままでは上手止まりか。

三太樓  大家の、猫なで声とドーカツを使い分ける、金子信雄並みいやらしさ秀逸。

志の輔  悪いけど眠くなった。マクラの小咄五連発で終われば5。

◆次回(第453回)落語研究会は、3月31日(金)です。

出演予定・演題

●立川志の吉 子ほめ
●柳家花緑   片棒
●柳家三語楼 魂の入替      
●柳亭市馬   雛鍔    
●柳家小三治  出来心

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2006.02.16

第451回 落語研究会 2006年1月23日

【価格net 】

圓太郎大ブレーク! 偏差値一気に小朝と並ぶか?

今回は久方ぶりに粒揃い。意欲充実した熱演が相次ぎました。

第451回 落語研究会 2006年1月23日 国立劇場・小劇場

演目         演者(現偏差値)    たか評

無精床      柳家さん光        3
厄払い       入船亭扇辰(50.0)     4
甲府い      橘家圓太郎        5
初天神      柳家さん喬(62.5)     4
文違い      三遊亭小遊三(55.0)  4

★トピックス 柳家さん光が、三月下席より真打昇進。五代目古今亭志ん生も名乗ったことがある、まあまあ大きな? 名跡・柳家甚語楼を襲名します。

【寸評】

さん光 祝真打昇進。ごく無難にこなして、ウケもそれなり。男ことばで、オ茶、オ湯はちょっとね。

扇辰 黒門町文楽が得意にした古風な噺。前日同じネタでまったく受けず、ヤケ酒の末再挑戦の由だが、背景の厄払いの口上は声がよく通り、店先と、隣室の与太郎のやりとりも、距離感がちゃんと伝わる。厄落としの風習の説明も適切。これで、凍みとおる江戸の路地裏の寒さが客席に伝われば、それこそ名人? 

圓太郎 それぞれの人物が生き生きと息づき、今月随一の出来。歯切れのよさは志ん朝を彷彿とさせた。あえて難癖をつければ、初対面の善吉の申し開きが立て板に水過ぎ、わざとらしく聞こえることくらい。「ペ・ヨンジュン似」の美男の上、絵に描いたような実直勤勉な「模範生」の立身譚なので、ヘソの曲がった現代人には反発を起こさせかねない噺だが、随所で巧みに笑いを誘い、教訓臭を排除。「インターミッション」のコンビニの漫談も、噺の緊張感を和らげ、飽きさせないよい工夫。偏差値新規60申請。

さん喬  前回まで続いた人情噺の圧迫感から解放されたかのように、軽い噺を楽しそうに演じていた。やはりこの人には、こうした滑稽噺がニンに合うのかもしれない。セガレが熱病でうなされたように「蜜……ミツ……」とつぶやくあたりがいかにもおかしい。

小遊三 ほとんど批判の余地がないほど巧い。多彩な人物の描き分けはもちろん、廓噺の持つ古風さを、変に現代風に改変して損なうことなく、言葉も含めてきちんと継承した上、現代の観客にも違和感なく受け入れられるものにしているのは、並の力量ではない……のだが、「落語を聴く楽しさ」が、この人の高座にはまるで感じられない。単なる愛嬌のなさとも異なる、客席を妙に見下したようなしらじらとした冷気が、どこか伝わってくるからだろう。

◆次回(第452回)落語研究会は、3月1日(水)です。

出演予定・演題

●春風亭朝也 湯屋番
●林家彦いち お見立て
●入船亭扇遊 花見の仇討
●柳家三太樓 天狗裁き
●立川志の輔  蜆売り

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2005.12.31

第449回落語研究会/落語

酒香グラス 1,470円~/1個

またまた×だったこぶ正蔵、偏差値依然上がらず!

●第449回 落語研究会 2005年11月22日 国立劇場・小劇場

演目         演者(現偏差値)    たか評

夢の酒        柳家小太郎       3
臆病源兵衛    桃月庵白酒       3
くしゃみ講釈    桂小米朝         4
鼓ヶ滝(和歌三神)林家正蔵(30.0)     3
富久          五街道雲助(67.5)   5

【寸評】

●小太郎 祝来春真打昇進。黒門町十八番のコピーのコピーのそのまたまたコピーとはいえ、大正の女房ことばをきちんと写しているのは感心。かみさんは、急に金切声になるなど、エキセントリックすぎ。

●白酒 改名初御目見得。 職人のベランメエのイキはいいが、ほとんど聞き取れないのは、落語として本末転倒。
 
●小米朝 初登場。派手でにぎやかで明るく面白く、しかも話芸はしっかりしている。現在、上方の方がはるかに噺家のレベルは高いだろう。今後とも、どんどん大阪から呼ぶべし。ただし、人間国宝親父ネタをマクラに振ると、こぶちゃんと同レベルになってまうよってに、やめときなはれ。 
 
●正蔵  開口一番、「もうこぶ蔵じゃありません」。よほど気にしているのか、目がすわっていた。何だか気の毒になる。噺自体は短い地噺に近いもので、特にどうこうはないが、こうしたものは七十、八十でコケが生えないと様にならない。名跡の大きさに呪縛されて、こんなつまらない噺ばかり意固地にやられると、聞いている客がほんま、疲れまっせ。

●雲助 トリにふさわしい芸格。この人の場合、騒々しい滑稽噺はむしろ不向きで、こうした、じっくり練り上げる人情噺の系統になるとがぜん底光りがする。だんなの情味が特に秀逸。久蔵は、八代目文楽のような切羽詰ったギリギリの悲壮感がなく、どことなくすっとぼけた味があるので、熱演でもゆったりとして、胃にもたれない。「火事がしめる」など、古格の言葉をきちんと残しているのもよい。 
 

◆第450回落語研究会は、12月27日(火)。

出演予定・演題

●柳家三三  しの字嫌い
●柳家喬太郎 道灌     
●立川談春  星野屋      
●瀧川鯉昇  二番煎じ    
●柳家權太樓  芝浜

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2005.11.21

第448回落語研究会2005年10月31日/落語

月間1000本限定生産!【幻のプレミア芋焼酎】

扇遊堂々、たい平赤っ恥! 志ん輔は……?

今月は「ごぶさた」ぞろい。客席はざっと六分の入り。
それでも、当日券発売で並ばせるのがご愛嬌でしたね。

●第448回 落語研究会 2005年10月31日 国立劇場・小劇場

演目         演者(現偏差値)    たか評

一目上がり    古今亭菊朝       2            
たらちね     林家たい平(47.5)     1             
明烏       入船亭扇遊        5           
おかふい      桂平治          4            
真景累ヶ淵より・                     
豊志賀の死      古今亭志ん輔(55.0) 3             

【寸評】

●菊朝 マクラ抜き、真剣勝負の姿勢はよい。前半はせわしなく間がずれたが、セリフの活殺はまずまず。

●たい平 噺を飛ばすスカタンはともかく、それを悪ジャレでごまかそうとし、終いに不貞腐れたのは言語道断なり。 

●扇遊 地味ながら、はなしに風格が身についてきた。当月一番の出来とみました。

●平治 持ち味のにぎやかな明るさで、後味の悪いはずのこの噺に邪気のない爆笑の渦。

●志ん輔 二枚目のはずの新吉が、終始べらんめえでゴロツキじみた。終始落とし噺の行き方で円朝物を通そうというのは、あまりに無謀。

◆次回(第449回)落語研究会は、11月22日(火)です。

出演予定・演題

●柳家小太郎  夢の酒 
●桃月庵白酒  臆病源兵衛   
●桂小米朝     くしゃみ講釈
●林家正蔵    鼓ヶ滝
●五街道雲助  富久

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2005.10.12

第447回 TBS落語研究会

全体に低調、權太樓一人勝ち!
●第447回 落語研究会 2005年9月29日 国立劇場・小劇場
 演目       演者      たか評
堀之内       立川笑志    2
親子酒     三遊亭歌武蔵   3                 
宗珉の滝    古今亭志ん橋   3
目玉(山田洋次作)    柳家花緑   3
笠碁              柳家權太樓       4
【寸評】
●笑志 「お祖師さま」は、オソッサマだってば! 持ち時間の2/3が苦節17年またも真打失敗+師匠ネタ。ほとんど漫談。
●歌武蔵 禁断症状で膝をたたくしぐさは、地響き立ててまさに土俵入り。親子の酔態は、雑に見えて不思議にリアル。おやじを酒乱でなく、とことん好人物にしてあるので(これも当人の地?)あと口はよい。
●志ん橋 大師匠(志ん生)、師匠(志ん朝)と受け継がれた芸道もの。噺の性格もあるが、無骨で終始講談に近い語り口。それでも噺に引き込む力は一級品。言いよどみが多すぎるのが難。
●花緑 祖父・小さんが一度しか手掛けなかったシュール新作。古典はまるでダメだが、こういうハチャメチャものならまあまあハマる。サゲは面白くないので、工夫した方がよい。
●權太樓 渋く、細かな人物描写が「本道」のこの噺を、浅薄なギャグ抜き、登場人物の巧みなデフォルメで笑いの多い、楽しい噺にしたのは、この人の才能。これからは「權太樓流」がスタンダードになるかも。二人の男の性格付けがやや不分明で、時々どちらがどちらか……というのが課題か。
 

◆次回(第448回)落語研究会は、10月31日(月)です。
出演予定・演題
●古今亭菊朝  一目上がり 
●林家たい平  たらちね   
●入船亭扇遊  明烏
●桂平治    おかふい
●古今亭志ん輔 真景累ヶ淵より・豊志賀の死

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2005.09.09

第446回 TBS落語研究会 

貫禄雲助、さん喬ネタ下ろし大車輪!

●第446回 落語研究会 2005年8月31日 国立劇場・小劇場

動物園の虎  柳家三太樓  1点
棒鱈      橘家圓太郎  3点
九州吹き戻し 五街道雲助   5点
喜撰小僧   柳亭市馬   3点
木乃伊取り   柳家さん喬  4点

【寸評】

●三太樓 

今回はまるで真剣味感じられず。噺中に3回も自分で笑い、声が上ずった。真打が開口一番に出されようと、客には関係ない。オジギを飛ばしていきなりマイクにかじりつき、何事かほざいたが、シャレにならず。もってのほかなり。

●圓太郎 

きびきびしたテンポのよいしゃべりは爽快。若いころの小金治をふと思い出した(落語は聴いてませんが)。場面転換もメリハリが利いていて結構。田舎侍が、興奮するとナマリが消えるのは逆で、ちょっと問題。

●雲助 

何度か言い違いがあったが、おおどかな風情だけの噺を、今時これほど古風にゆったり演じられる人はいない。喜之助は軽薄でも、幇間じみないところはさすがで、だんなの腹の大きさも十分。大詰め、嵐の描写の見事さは、もう名人の域……? はほめすぎか。

●市馬 

相変わらず明朗なところはよいが、噺自体がいま一つ面白くないので損している。これなら、元ネタの「悋気の独楽」にしたほうがずっとよし。定吉の悪ガキぶりも中途半端。

●さん喬

初演のよしだが、 今回にかけた気迫、意気込みは圧巻。清蔵の表情、心理の千変万化が練りに練られていて、泥酔から虚勢がはぎとられ、「みいら」になっちまう過程に無理がない。サゲは「帰れっちゅうのが無理かもすんねえ」で切ったが、これも自然な流れ。ただ、見世を「角海老」で演じるなら、明治の設定と断っておいた方がよいのと、かしくオイランの言葉遣いが潔癖過ぎ、色気に乏しいのが気になる。

◆次回(第447回)落語研究会は、9月29日(水)です。

出演予定・演題

●立川笑志     堀之内
●三遊亭歌武蔵  親子酒   
●古今亭志ん橋  宗珉の滝
●柳家花緑      目玉(山田洋次・作)
●柳家權太樓    笠碁

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2005.07.30

第445回 TBS落語研究会

二代目「江戸前」正朝、暑気払いの痛快なタンカ!

●第445回 落語研究会 2005年7月27日 国立劇場・小劇場

演目         演者        たか評

猫と金魚        五街道喜助   ★★
団子坂奇談   入船亭扇辰   ★★★                   
将棋の殿様    柳家喜多八   ★★★
擬宝珠       柳家喬太郎  ★★★★
祇園祭        春風亭正朝  ★★★★     

【寸評】

●喜助 前回(2004.12)より口跡はずっとよくなった。ただ、噺は型通り無難にこなしているだけ。まだ硬い硬い。祝ご襲名。

●扇辰 淡々としたよどみない語り口はよいが、説明・描写過剰が気になる。また、そば屋になった後の弥太郎はのびきってコシがなく、フニャフニャ。もと侍の片鱗さえまったく感じられない。 

●喜多八 御取り払いの金銀を手討ちにさせ、「死骸」を引き渡させるなど、独特のキツイギャグで喜多八節全開。ただ、こうした無骨一辺倒の噺は、この人のニンに合うとは思われず、かなり持ち味を削いでいたのは残念。三太夫の描写は若すぎて老獪さに欠ける。膝をハッシと打つ気合は見事。 

●喬太郎 金属嗜好症の一家を思い切りヘンタイ的かつ漫画的に描き、古色蒼然とした噺を奇想天外な爆笑編に再生させたのはご立派。「……死んじゃいなさい」など、「普通人」・熊さんの毒舌が、この仁らしく冴えに冴えた。タイガー&ドラゴンのマクラには笑えました。  

●正朝 噺としてはトリの重みに欠けるものの、師匠・柳朝写しの江戸っ子のタンカは歯切れもよく爽快。今時、これほど小気味いいベランメエがしゃべれる噺家は貴重。ダレやすい前半の、茶店の婆さんに道を聞くくだりもきっちりこなした。 

トビックス 

今回開口一番を勤めた五街道喜助が、9月に真打昇進披露。三代目(?)桃月庵白酒(とうげつあん・はくしゅ)を襲名します。107年ぶりの復活とか。 

あらすじ

●団子坂奇談

本所の旗本の次男坊・生駒弥太郎は、ある年の花見時、
評判の団子坂の桜を見物した帰途、おかめやというそば屋に入った。

応対に出てきたのが店の看板娘で、名はおきぬといい、
小町と呼ばれるほど、界隈では評判の美人。
弥太郎、その町人離れしたしとやかな美しさに、たちまち一目ぼれ。
屋敷に帰ると、とうとう恋わずらいで臥せってしまう。

心配した両親、身分違いながらせがれの命には替えられないと、
おきぬを嫁にとおかめやに申し込んだが、
父親であるそば屋の主人は、一人娘の上、親一人子一人で、
おきぬが店をすべて切り回しているので、嫁にはやれないと断る。

ところが弥太郎はあきらめきれず、それなら自分が町人になり、
おかめやに婿入りすると言い出し、双方の親の反対を押し切って、
店の裏手に空店を借りて下宿し、
強引におかめやでそば職人の修行を始めた。

家から何がしかの仕送りをしてもらい、
おきぬに気に入られたいために、陰日向なく懸命に働くので、
主人のおぼえもめでたく、婿入りも決まったも同然。

その夏、蒸し暑い晩のこと。弥太郎が暑さで寝付けず、悶々としていると、
夜更けに表のおかめやの庭先で、コトンコトンと駒下駄の音。

不審に思ってそっと外をのぞくと、何とおきぬが、
いつになく険しい顔で、弥太郎の部屋をうかがっている。
そのうち外に出て行くので、驚いて月明かりを頼りに跡をつけると、
三崎坂下あたりで見失ってしまう。

仕方なく部屋に帰り、小半刻ばかりすると
また駒下駄の音がし、おきぬが戻った様子。

翌朝、おきぬは普段とまったく変わらないので、
ますます疑心をつのらせた弥太郎、
その夜も翌晩も寝ずに見張っていたが、おきぬは現れなかった。

それからしばらくして梅雨の明けた、また寝苦しい夜。
弥太郎が寝付けずにいると、夜更けにあの駒下駄の音。
今度こそは逃がさないと、草履はだしのまま跡をつけると、
おきぬは三崎坂の手前を、谷中の墓地の方へ。

墓場へ入ると、墓石の間を、何か探している様子。
と、そこは新仏の、真新しい土饅頭。
おきぬは塔婆を引き抜き、土を掘って赤ん坊の死骸を引っ張り出し、
腕にかじりついてむしゃむしゃ食い始めた。

あまりの恐ろしさに逃げようとするはずみ、小枝を踏んでしまった弥太郎、
ぽきっという音に振り返ったおきぬの顔は、
この世のものとも思われない鬼女のもの。

悲鳴をあげて一散に逃げ帰ると、表戸をたたく音。
「……弥太郎さん、空けてください」と、弱々しいが凄みを帯びたおきぬの声。
弥太郎が布団をかぶってガタガタ震えていると、
おきぬは今夜見たことは決して他言しないよう哀願し、立ち去る。

翌朝、もうこんなところは恐ろしくてとてもいられないと、
弥太郎は意を決して主人に一部始終を打ち明け、暇を請う。

黙って聞いていた主人、意外にも平然と、
そんなこと、おまえが暇を願うほどのことではないと言い放つ。

「いいかい、ウチのおきぬが赤ん坊の腕をかじったぐらい、何でもない。
おまえだって、いまだに親のすねをかじっている」。

*「脛かじり」によく似た猟奇噺。あるいは、その改作かもしれません。

●擬宝珠(ぎぼし)

さるご大家の若だんなが長わずらい。
医者も、何か思い詰めていることが叶えられれば治ると言うばかり。

そこでだんな、若だんなの幼なじみで店に出入りの職人・熊さんに、
せがれの望みを聞き出してほしいと頼む。

熊さんが問いただしても、若だんなは、
自分の願いはとても叶えられないから、このまま死んでいくと投げやり。

そこをなだめすかして、ようやく聞き出した「悲願」を聞いて、熊さん唖然。

この若だんな、幼い時分から、橋の欄干の、金属の擬宝珠をなめるのが好きで、
隅田川の橋という橋はすべて賞味し尽くしたので、
最後の望みとして浅草寺の五重塔の、てっぺんの擬宝珠をなめたいと言う。
仰天した熊さん、すぐだんなに御注進すると、

「こいつは驚いた。実はオレも婆さんも、擬宝珠が大好物なんだ。
血は争われねえもんだ」。

大変な一家があったもの。

せがれの一命には替えられないと、早速寺に手を回して許可を得、
鳶頭が出張して足場を組むなど大騒ぎ。

若だんな、勇んで塔のてっぺんに登ると、
ベロベロベロとうまそうになめた。

十分に堪能して、若だんなは病気もどこへやら、
青白かった顔色も血色が戻り、元気いっぱいで下りてくる。

「おい、うまかったか?」
「タクアンの味がしました」
「塩気が強かったか。タクアンの塩ならどのくらいだ? 四升か五升か?」
「いえ、六升(=緑青)の味でした」。

*「金の味」として、「千字寄席」で近日アップ予定です。明治の初代三遊亭円遊の速記では、秘密を聞き出すのは、欲張り幇間の桜川長光となっています。

◆次回(第446回)落語研究会は、8月31日(水)です。

出演予定・演題

●柳家三太樓  動物園の虎 
●橘家圓太郎  棒鱈   
●五街道雲助  九州吹き戻し
●柳亭市馬   喜撰小僧 
●柳家さん喬  木乃伊取り

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2005.07.09

第444回 TBS落語研究会

うーん、やっぱりだめだった正蔵、偏差値上がらず。

●第444回 落語研究会 2005年6月30日 国立劇場・小劇場

演目          演者       たか評     ふる評

金魚の芸者    林家ぼたん     ★        ★
三人無筆     柳家一琴      ★★★      ★             
質屋庫       柳家權太樓     ★★★★★      ★★★★
そば清      春風亭昇太     ★★★★    ★★★
景清       林家正蔵         ★★★      ★★ 

【寸評】

●ぼたん 
出の途中で手を振ってコンニチワーは、性別抜き、芸以前の問題。こん平さん、ちゃんとしつけにゃ/女性の登場は史上初なんだって。それがどうした。学芸会じゃねえんだぞ。おとがいゆるませてくれりゃ、性差など問いませんて(ふ)        

●一琴  
明朗で手堅いのは結構。弔問客がみんないやに嬉しそうなのはいかがなものか(た)/そうだよ(ふ)

●權太樓
今回の白眉。「湯屋番」を思わせるだんなの長い仕方噺、小僧の滑稽、熊さんの腕まくり、どれも独自のおかしさ。十分にやってダレず、爆笑の渦。いや、この人を見直しました(た)/4人の中じゃ、いいでき、という程度。とちりや言いよどみがないのはよかった。まくらの韓国ネタ、笑った(ふ)

●昇太 
上手向きで弾丸のように犬食いする所作は、漫画的で抱腹絶倒。そば賭けの商売人という設定も面白い。55杯目でのたうつ姿は変にリアルで大げさ過ぎ。サゲで、溶けたのを説明するのは蛇足(た)/スピーディーで心地よいんだけど、古典やるととちるんだよなあ(ふ)

●正蔵 
陰陰滅滅。人情噺で声を落として渋く見せても、しょせんは誰かのコピー芸、40年早い。名前にとらわれず、もっと陽気に、「猫と金魚」でもやってみたらいかが?(た)/勘違いの芸。家で先代のCD聴いてたほうがいいよ。でも、まくらにおやじを出さないだけ進化してるか。弟は出してたが。もっと孤独に耐えろってんだ(ふ) 

【あらすじ】

金魚の芸者 
 ある男が、子供が手づかみにして弄んでいる金魚を五銭で買い取り、大切に飼う。するとある日、若い娘が尋ねてきて、自分は助けてもらった金魚だが、恩返しがしたくて人間に化身してきたので、どうか自分を芸者に出してほしいと言う。そこで、ちょうど置屋をやっている新橋のだんなのところへ連れて行くと、だんながいろいろ境遇を聞く。泳ぎが上手だのボウフラや麩が好きだのと危ないことを言ってハラハラさせるが、だんなも気に入って、早速抱えられることに。ちょうどお座敷の予約が入るが、あいにく芸者が全部出払っている。だんなは「それは困った。まったく猫の手も借りたいくらいだ」とぼやくと金魚が「猫? それには及びません。金魚が手を貸します」

※明治の①三遊亭円遊の作という。本来のサゲは金魚の「お丸」がだんなの前で清元を一段器用に語り、「ああ、いい声(鯉)だ」「いえ、実は金魚です」というもの。

三人無筆 
 お出入り先の伊勢屋のだんなが死に、その弔いの帳付け(弔問客の記帳)を押し付けられた甚兵衛。実は無筆(=文盲)なので大弱り。かみさんに相談すると、朝早く一番乗りで寺へ行き、「体で字を書く」、つまり全部雑用を済ませておいて、その代わり書く方は全部相役に押し付ければいいと知恵をつける。言われたとおり朝一番で寺に着いてみると、何ともう一人の男が先に来ていて、甚兵衛がするつもりだった雑用を一切合財片付けてしまっていた。聞くとその男も無筆で、やはりかみさんに同じことを言われてきたという。仕方がないので二人で相談し、隠居の遺言だから、記帳は銘々付け(=自分で書く)と決まっていると、仏に責任を押し付けてすまし顔。そのうち横丁の手習いの師匠が来ると、自分で書くのが面倒くさい弔問客の連中、記帳を全部先生に頼むので渋い顔。そのうち先生も奥に入ってしまい、やれ助かったと二人が胸をなでおろしていると、飛び込んできたのが遅刻の鳶頭。ところがこの男も無筆なので、「銘々付け」と言ってもダメ。頼みの師匠はいないし、三人で頭を抱える。「そうだ、鳶頭、あんたが弔いに来なかったことにしよう」 

※三遊亭円窓のオチは、この続きで「そんなことをしたらだんなに申し訳がねえ」「いや、かまいません。ホトケの遺言にしておきます」とダメを押すもの。

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2005.06.02

第443回 落語研究会 2005年5月31日

充実菊之丞と「コイノボリ」旋風!

志の輔ファン大挙御入場、八分通りの入りで今回も盛況。
ホープ・菊之丞、知る人ぞ知る鯉昇の熱演で
大いに盛り上がりました。

●第443回 落語研究会 2005年5月31日 国立劇場・小劇場

演目       演者         たか評

鮑熨斗      春風亭朝之助  ★
酢豆腐     古今亭菊之丞   ★★★★                   
お神酒徳利  瀧川鯉昇     ★★★★
蟇の油     柳家花緑     ★
千両みかん  立川志の輔    ★★★     

【寸評】

●朝之助 
登場人物の区別つかず。時々、大家や職人とカミさんが入れ替わる「クロスオーバー」も。フンドシのことに触れていないのに「事情があってめくれない」はいけません。

●菊之丞 
グイグイ芸が伸びている。若手には珍しく、「茶人」(=物好き)などの江戸ことばを自然にこなせるのは感心。通人の若だんなはややオカマっぽいが、抱腹絶倒。先代権十郎の名人芸「助六」の通人を思い出した。年の割に破綻がなく、器用すぎるのがかえって不安なほど。時間の関係か、若だんなのノロケを削ったのは惜しい。前半の人物出入りをもう少し整理したほうがよいだろう。

●鯉昇 
名人・円生の呪縛とは無縁に、明るく自在な高座。トリにすわる重厚さはないが、「夫=¥」などの秀逸なマクラを初め、後半の宿場づくしの言い立てなど、十分楽しめた。難は、番頭のかみさんに伝法に話すところと、だんなにヘコヘコする口調が、一人の人物の裏表としてしっくりつながらないところか。

●花緑 言葉とがめはヤボではあるが、「見せしめに置いてある」はいくら何でもねえ……。全体に、落語というよりはテレビタレントの漫談。言い立ても、ただ早口でまくしたてりゃいいというものでもなかろうに。ついでに、「がまの油」が与太郎ばなしだったとは、寡聞にして初めて知りました。

●志の輔 一言で言えば「ミニ談志」。ピアノマンなど、時事ネタの風刺も、口調はそっくりだが家元ほどの毒もなく、中途半端。シャープなのは、みかん問屋の主人が、いかにも「あった」と思わせてポイと捨ててしまうくだり。が、あざといといえば言える。最後の番頭の思い入れは大げさでクサすぎ、見ていられなかった。いっそ、番頭がお召し取りで本当にハリツケになるよう、シュールに改作しちまったらいかがか。

◆次回(第444回)落語研究会は、6月30日(木)です。

出演予定・演題

●林家ぼたん  金魚の芸者 
●柳家一琴    三人無筆   
●柳家權太樓   質屋庫
●春風亭昇太  そば清      
●林家正蔵   景清     

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2005.05.01

第442回 落語研究会 2005年4月28日 

江戸っ子の意気横溢! 志ん輔開花

今月は地味な顔ぶれながら、後半は粒ぞろいでなかなかの高水準。
それにしても、もう少しお客が入ればねえ……。

●第442回 落語研究会 2005年4月28日 国立劇場・小劇場

 演目     演者         たか評

鹿政談      柳家小太郎     ★★
大安売り    三遊亭歌武蔵    ★★                   
意地くらべ   柳家さん喬      ★★★★
熊の皮     柳家三太樓      ★★★★
幾代餅     古今亭志ん輔     ★★★★★     

【寸評】

●小太郎  マクラも枝葉も全部カット、「サンプル版」にしても25分。こんな大ネタを、開口一番の二つ目にやらせる方もやらせる方。いい度胸だ。      

●歌武蔵  相変わらずのお相撲ネタで、三分の二は相撲漫談。この御仁、芸は荒っぽいが、不思議な愛嬌とフラがあり、客のつかみ方はうまい。      
 
●さん喬   師匠譲りの強情噺。「強情灸」のように誇張された笑いでなく、いかにも明治の市井にいただろう江戸っ子の人物像をみごとに活写。この人の難点の、声の小ささや思い入れ過多を補って余りある好演でした。

●三太樓   全編爆笑につぐ爆笑。前半のかみさんのサディストぶり、後半の珍問答のおかしさに、落語のエッセンスを堪能。「尻に敷く」から女房を思い出すサゲにし、エロ噺にしなかったのも、噺の流れから自然で結構。

●志ん輔  トリにふさわしく本日の白眉。発端こそ、いつもの志ん朝の影法師がのぞいたが、登場人物それぞれに江戸っ子の心意気があふれ、爽やかでまことに立派な出来ばえ。清蔵・幾代が初会で枕を交わす運びはよい。吉原のしきたり上無理はあるが、正直な告白だけでは、幾代があんなに惚れないだろう。

◆次回(第442回)落語研究会は、5月31日(火)です。

出演予定・演題

春風亭朝之助 鮑熨斗(あわびのし)  
古今亭菊之丞 酢豆腐
瀧川鯉昇    お神酒徳利
柳家花緑    蟇(がま)の油  
立川志の輔   千両みかん

あらすじ

●鹿政談 

奈良・興福寺東門前町の豆腐屋六兵衛は、
真っ正直で気の優しい人柄。

ところが、ある早朝、
鹿が商売物のきらず(オカラ)の桶をひっくり返し、
中身をむさぼり食っていたので、
赤犬と間違えて思わず逆上、薪ざっぽうで殴り殺してしまう。

春日明神の使いの神鹿を殺した者は
有無を言わさず、男は死罪、女子供は石子詰めという生き埋めだ。

おろおろしているうちに夜が明け、
哀れ六兵衛はたちまちお召し捕り。

奈良町奉行所のお白州で、
鹿の守役で目代の塚原出雲と
興福寺番僧・了全立会いのもと、
名奉行・根岸肥前守のお裁きとなった。

情け深いお奉行、何とか六兵衛を助命しようと、
「その方は他国の生まれであろう」
「寄る年波で何も覚えておらぬのではないか」
などと助け舟を出すが、
正直一途の六兵衛。

お情けはありがたいが、自分は嘘はつけない、
心身ともにまだ達者だし、
祖父から三代続いた正真正銘の奈良の人間だと答えるばかり。

困った奉行、鹿の屍骸を引き出させ、
「うん、これは角がない。
これは鹿にあらず、犬に相違ない。一同どうじゃ」。

あわてた出雲、
「お奉行のお言葉とも思われませぬ。鹿は毎春、若葉を食しまするために
弱って角を落とし、これを落とし角と……」
「だまれ。さようなことを心得ぬ奉行と思いおるか」。

あくまで鹿と言い張るなら、
出雲・了全両人が結託の上、
幕府から下される年三千石の鹿の餌料を着服、あまつさえ
それを高利で貸し付けてボロもうけしているという訴えから吟味いたすが、
どうじゃと迫る。

鹿が飢えて民家に下り、台所を荒らすのは、
餌代のピンハネのため。
それを暴かれてはと、二人はグウの音も出ない。

こうして屍骸は犬と決まり、
六兵衛はめでたく無罪放免。

「これ、その方は豆腐屋であったな。斬らず(=きらず)にやるぞ」
「はい、マメ(=豆)で帰ります」。

【蛇足】
今回の小太郎は大阪の型で、
六兵衛は六十三歳の老人ですが、
ふつう、東京では親孝行の青年で演じます。

●意地くらべ

ある金持ちの家に
金を五十円借りにきた男。

あんたなら五十円くらい何でもないだろうなどと言うので、
怒って断ると、
今日中に金が揃わないと、あっしの顔が立たないから、
貸してくれるまでここを動かないと粘る。
警察を呼ぶと言えば、
もし牢死でもすれば、あなたを取り殺すと脅す。

根負けして理由を聞くと、
一家揃って強情で通っている家に
金を借りにいったところ、
無利息無証文で貸してくれた上、
都合のいい時にお返しなさいと言ってくれたが、
自分は晦日までに返すと心に決めたので、
どうしても今日中に返さないと男が立たないという。

そのあっぱれな強情振りと義理堅さに、
だんなもほとほと感心し、金を調達して貸してやると、
男は必ず次の晦日に返すと約束して、早速強情だんなの家へ。

ところが、
「見たところまだ都合もよくなさそうなようすだから、
受け取るわけにはいかねえ」
と突っ返される。
わざわざ金を借りてきたと話すと、
貸す奴も貸す奴、借りる奴も借りる奴だと怒って追い出す。

仕方がないので、もとの家に返しに行くと、
今度はこっちの旦那が意地になり、
晦日まではどうあっても受け取らないと、また突っ返される。

またまたまた強情旦那の所に逆戻り。
誠心誠意、無利息催促なしで恩金を貸してくれた
だんなの厚情に答えたいと頼むと、
先方はその誠意に心打たれ、
では受け取るが、お前さんに貸したのは当月一日の昼だから、
明日の正午になるまでダメだと、どこまでも頑固一徹。
二人ともそれまで座ってにらめっこすることに。

酒を酌み交わすうち、
飯でも食おう、牛鍋はどうだと聞くと、
あっしは食わず嫌いでと言うので、
言い出した以上は牛肉を食わさなければおかないと、
せがれに買いにやらせる。

それが、夜の七時を回っても帰らないので、
様子を見に表に出ると、
当のせがれが知らない男と、
これまたにらめっこの最中。

「この人があたしの鼻っ先に突っ立ったんで、あたしも
この男のどくまでここに立ってるんです」
「えらい、それでこそオレの息子だ。
しかし、家じゃ腹空かせて待ってるだろう。
早く牛肉を買ってきな」
「でもおとっつぁん、この人がどかなきゃ行かれません」
「心配するな。オレが代わりに立ってる」。[岡鬼太郎・作]

●熊の皮

 いつもガラガラ女房の尻にしかれ、
こき使われて虐待されているボンクラ亭主。

今日も疲れて帰ると、
やれ米を研げ、掃除だ洗濯だ干し物だと、
休む間も与えない。

あげく、横町の医者から到来物の赤飯をもらったから、
礼に行けという。

口上を教え、
「『うけたまわりますれば、何かご到来物がございましたそうで、
お門多のところを、手前どもまで赤飯を頂戴しまして、ありがとう存じます。
女房からくれぐれもよろしく申しました』。お前さんはおめでたいから、
決して最後のを忘れるんじゃないよ。それからあの先生は道具自慢だから、
何か道具の一つもほめといで」
と注意されて送り出される。

着くなりいきなり、
「ええ、何かおとむらいがありましたそうで。ご愁傷様で」。

トンチンカンな問答のあげく、
案の定肝心の「女房が」以下をきれいに忘れてしまった。

「……えー、先生、何かほめるような道具はないですか」
「ナニ、道具が見たいか。よしよし、……これはどうだ」
「へえ、こりゃあ何です?」
「珍品の熊の皮の巾着だ」
「クマノカワって何です?」。
「あのなあ、何ですと言っても、クマノカワはクマノカワなんじゃがな。
尻にしかれてるからわかるだろう」
「尻にしく……? あっ、先生、女房がよろしく申しました」。

【蛇足】
艶笑(エロ)噺のときは
熊の黒い毛と鉄砲玉の痕をなでまわし、
穴に二本指を入れて思い出し、「女房が……」となります。

●幾代餅

日本橋馬喰町一丁目の搗(つき)米屋・
六郎兵衛方の奉公人・清蔵。

二十歳を越しても遊び一つ知らず、まじめ一方の堅物。

ところがこの男、ある日人形町の絵草子屋で見かけた、
当時全盛の吉原・姿海老屋抱えの
幾代太夫の錦絵に恋わずらい。

どうしても幾代太夫に会えなければ死ぬと言うので、
親方も大弱り。

太夫は大名道具と呼ばれ、
とても米屋の奉公人などに手の出るはずもない。

仕方なく、
今日から一年間、死ぬ気でけんめいに働けば、
来年の今日、その貯まった給金で吉原へ連れて行き、
太夫に会わせると、嘘も方便。

それを真に受けた清蔵、急に元気が出て、
それから一年、寝食を忘れて猛烈に働き、
貯まった金が十三両二分。

いよいよ約束の日、
親方に、預けた金を渡してくれと申し出た。

すっかり忘れていた六郎兵衛、
あれはお前を元気付けるための嘘で、
殿様か大金持ちでないと太夫など買えるわけがないと諭すが、
清蔵は聞かない。

仕方なく、
腕は問題外だが、遊び人で吉原の大見世にも顔の利く
医者の藪井竹庵を介添えに頼み、
六郎兵衛が金を足して十五両持たせ、
清蔵を野田の醤油問屋の若だんなということにして、
竹庵と二人で姿海老屋に乗り込む。

幸いその日、幾代太夫の体が空いていたので、
晴れてご対面できたばかりか、
どういう運の巡りあわせか、
その夜めでたくお床入り。

翌朝、
この次はいつ来てくんなますと尋ねる幾代に、
「へい、この次は来年…… 」 。

正直な清蔵、嘘をつき通せず、
とうとう自分の素性や経緯を
洗いざらい打ち明けてしまう。

涙ながらにわびる清蔵の誠実さに、
幾代太夫は胸を打たれ、
わちきは来年年季が明けるから、そのときは女房にしてくんなますかと、
思いがけない言葉。
さあ、清蔵は夢かとばかりに感激。

こうして約束通り、
翌年、幾代が丸髷に結って六郎兵衛宅に嫁入り。
夫婦で幾代餅という餅屋を開店、
大繁盛したという、めでたしめでたしの一席。

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